監査委員に「議員枠」必要? 「名誉職」「たらい回し」批判も 廃止可でも九州7県3政令市に動きなし

西日本新聞

 地方自治体の予算執行や財務状況をチェックする監査委員のうち、議会選出委員(非常勤)の廃止が4月から可能になった。地方自治法改正に伴う監査制度の充実強化に向け、「議会は議会としての監視機能がある」といった声も踏まえて見直された。既に廃止した自治体もあるが、九州の7県3政令市では今のところ動きはない。議会の監査委員枠は「名誉職」「たらい回し」との批判もあり、専門家は見直し議論を呼び掛けている。

 監査委員の定数(常勤の代表監査委員を含む)は都道府県と政令市が原則4人、その他の市町村が2人。法改正以前は、最低1人を議員から選ぶと定めていた。改正後は自治体が条例で議員枠をなくすことができ、国は4月施行に向け、昨年6月に改正内容を自治体と議会に伝えていた。

 西日本新聞が今年4月に九州の7県3市に取材したところ、全自治体が「当面は議員枠の撤廃はない」と答えた。「全国の動きを見て今後の方向を検討する」との回答は複数あった。

 7県3市で、議会選出の監査委員は佐賀県と福岡県が各1人で、他は各2人。議員以外の監査委員は公認会計士や弁護士などの専門家が多く、代表監査委員は自治体職員OBや元副知事だった。

 議会選出委員の任期は法律上は「議員の任期による」だが、7県3市の多くは1年交代が慣例になっている。「議員の監査機能は効果的に発揮されている」(福岡県)と評価する声がある半面、議員による監査は「執行部寄りになりがちだ」といわれる。

 法改正を機に、議会が自ら見直しに乗り出し、既に4月から廃止したのは大阪府議会。昨年末に議員提案で条例案を可決した。同様に廃止を決めた大津市議会の議会局は「政務活動費など議会も監査対象で、監査の独立性が保たれないと判断した」と説明する。

 一方、九州7県3市の2017年度の監査業務は22~67日で、議会選出委員の月額報酬は最も高い長崎県が17万円、福岡県や福岡市は9万円、最低は熊本県の3万2千円だった。熊本、宮崎両県は日当も支給している。北九州市は議員の政務活動費に関する住民監査請求で、議会選出委員2人を一時的に除籍して監査したことがあった。

■法改正鑑み削減検討を

 元福岡県監査委員の伊藤龍峰西南学院大教授(会計監査論)の話 監査委員は首長からの独立性や専門性が求められる。しかし、議会選出の監査委員は所属する会派の影響を受けかねず、独立性に疑問が生じる懸念がある。専門性も問題視されている。一気にゼロにするのは難しいとしても、今回の地方自治法改正の趣旨に鑑みれば、減らすことを検討すべきではないか。

=2018/05/06付 西日本新聞朝刊=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ