僕は目で音を聴く(4) 本人が電話しないとだめ?

 私は外国旅行に行くのが趣味です。海外旅行保険の内容について不明な点があったので、聴者(耳が聞こえる人)である妻に、保険会社に電話をしてもらい、質問することにしました。しかし電話口で、担当者は「本人から直接、電話がないと答えられない」と言うのです。

 妻が「夫は耳が聞こえないので、電話できません」と説明しても、「声で本人確認するのが前提」の一点張り。聴覚障害者で電話が使えない場合でも、まずは、誰かに「保険内容の確認を委ねる」という書面(委任状)での手続きが必要とのこと。結局、委任状が後日、郵送されてくることになりました。

 私は今すぐ知りたいのに、郵便で到着するのを待って、保険会社に送り返して、という手間と時間をかけなくてはならない…。今回は日本から質問したので手続き自体は可能でしたが、私はこれまで、マレーシアで一眼レフカメラを盗まれたこともあります。旅行中にトラブルがあって保険会社に確認することがある場合、委任状をやりとりするなんて現実的ではありません。どうするつもりなのだろう、と気になりました。

 保険会社によっては、メールで対応してくれるところもあるようですが、インターネットのアクセスが厳しい国もあります。メールができない環境だったらどうすればいいのでしょう。実際にメールが使えず、連絡に困ったこともありますし…。

 こうした融通の利かない対応は銀行や金融関係会社のサービスでも、ほとんど同じです。セキュリティーを厳しくしているのでしょうが、聴者に比べて聴覚障害者への対応が遅くなるのは合理的な配慮がないのでは、と感じてしまいます。

 せめて保険会社と契約する際、本人が聴覚障害者であることを証明するため、例えば障害者手帳のコピーを提示するなどあらかじめ手続きしておけば、電話でも対応するようなことはできないでしょうか。あるいはテレビ電話ならOKとか…。互いに知恵を絞れば道が開けるのでは、と考えます。(サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2018/05/03付 西日本新聞朝刊=

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