戦渦アフガンに広がる緑 中村哲氏に土木学会賞 治水技術で干ばつ対策

 建設技術者などでつくる土木学会は、アフガニスタンで長年にわたり用水路建設や補修事業に取り組む中村哲医師(71)=福岡県出身=に土木学会賞技術賞を贈ることを決めた。日本の治水技術を使用して現地での干ばつ対策や農業生産の向上に寄与したことを高く評価した。6月8日に東京都内で表彰式が行われる。

 中村氏が総院長を務める現地の非政府組織「PMS」(平和医療団・日本)は、2000年にアフガニスタンで起きた大干ばつを受けて、03年から東部のナンガルハル州でかんがい用水路の建設などをしている。PMSが整備する農業用水路は福岡県朝倉市にあるかんがい施設「山田堰(ぜき)」をモデルにしており、事業で潤う土地の面積は現在、福岡市の半分近い約1万6千ヘクタールに上る。

 中村氏は2月に現地での用水路建設や医療活動を評価され、アフガニスタンのガニ大統領から国家勲章を受けているが、治水技術について賞を受けたのは初めて。中村氏は18日、「技術者として品質を認めてもらったのはうれしい」と喜びを語った。

■医療団かんがいの地にバラ

 戦渦のアフガニスタン東部ガンベリ砂漠。アフガン支援に取り組む福岡市の「ペシャワール会」現地代表、中村哲医師率いるPMS(平和医療団・日本)が、用水路を通して緑化した地域にある記念公園は今、色鮮やかなバラが咲き乱れている。

 アフガンのバラは3月末に開花し11月ごろまで何度も花を咲かせる。「アフガン人は無類の花好きで、わけてもバラは花の王者だ」と中村氏は話す。

 農場に隣接し、2015年に完成した約1ヘクタールのこの公園には、満開のバラを見ようと車で約2時間半の首都カブールから訪れる家族連れも多いという。

 周辺の治安は安定しているが、カブールでは先月も自爆テロが発生。美しいバラの前で写真に納まる護衛たちもライフル銃を携えている。危険と隣り合わせの中、PMSはかんがい事業を続けている。

=2018/05/19付 西日本新聞朝刊=

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