英語入試改革 公平性を担保できるのか

西日本新聞

 大学入試制度の歴史的な転換点と言っても過言ではない。もう一度、立ち止まって課題を総点検すべきではないか。

 2020年度からセンター試験に替わって始まる「大学入学共通テスト」で導入される英語の民間試験について、大学入試センターが英検やTOEICなど7団体23試験を認定した。

 国立大学協会は、その全てを国立大学で使用可能とするガイドラインを公表した。「現時点では拙速」と批判していた東京大も、合否判定に使う方向で検討を始めた。同様の動きは全国の大学に広がりそうだ。

 検定試験の導入は「読む・聞く・話す・書く」の4技能をバランス良く評価するためだ。試験の成績は国際標準規格CEFR(セファール)に対応した6段階で評価し、素点とともに大学に提供される。

 しかし、そもそも留学やビジネスなど使用目的が異なる多様な検定試験の結果を、一律に扱って、公平に比較することができるのか。学習指導要領との整合性や設問・採点の質を担保できるのか。情報流出などのセキュリティー対策は十分なのか。疑問は尽きない。

 再三指摘されてきたことだが、23に及ぶ試験が認定されたことで、受験に備える側の不安も増しているのではないか。

 試験は全都道府県で複数回、実施するのが原則だ。ただし経過措置があり、県によっては当面実施されない試験もあるとみられる。離島など地方の受験生には会場までの交通費や時間・労力が負担となる恐れもある。

 受験生は4~12月に受けた試験から、2回分の結果を入学試験に利用できる予定だ。民間試験にはそれぞれ設問に固有の傾向があり、受験回数を増やすほど試験に慣れ、有利になるという指摘がある。

 1回の検定料は6千~2万5千円程度となる見通しだ。「受験機会が少ない過疎地の居住者や、家計が苦しい受験生が不利になる」という声が九州の高校教諭などから上がっている。

 地域格差や家庭の経済格差が成績を左右しかねないのであれば、看過できない問題である。

 入試センターは、居住する地域にかかわらず、全員が希望する試験を過重な負担なく受けられるよう、実施団体に試験会場の選定や検定料の設定などで配慮を求めている。だが、実効性は不透明と言わざるを得ない。

 入試センターは受験生の不安や戸惑いの声に誠実に向き合って制度を設計する必要がある。スケジュールありきの見切り発車では混乱は避けられない。公平と公正こそ、入学者選抜のゆるがせにできない土台であることを改めて肝に銘じるべきだ。

=2018/05/20付 西日本新聞朝刊=