福岡県久留米市のガーデニング愛好家の庭を訪ねると

西日本新聞 中野 剛史

 福岡県久留米市のガーデニング愛好家の庭を訪ねると、青く愛らしいワスレナグサの花が咲いていた。名前の由来は諸説あるそうだが、この愛好家の女性は、花が枯れた後に種の殻が「忘れないで」と訴えるように服にくっつくからではないか、との説を教えてくれた。

 新聞社に入社して20年がたった。取材部門も、レイアウトや見出しを担当する内勤部門も経験した。最近、新聞を作る仕事はワスレナグサを育てる作業なのではないかと考えている。見出しで読者を引きつけ、印象に残る記事で記憶に刻んでもらう。

 インターネット社会となり、情報は日々、氾濫し押し寄せてくる。それをいいことに、権力者たちは都合の悪い事象を情報の洪水の中に紛れ込ませ、矮小(わいしょう)化したり忘れさせようとしたりしているように思える。ワスレナグサのように心にくっつく記事を。久留米のデスク席からも貢献したい。 (中野剛史)

=2018/05/24付 西日本新聞朝刊=

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