嘉麻市・産廃火災から1年 ごみ完全撤去、めど立たず 住民、再発火に不安 「ため込み許した」県にも怒りの矛先

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 嘉麻市大隈の産業廃棄物処理業「エコテック」の中間処理場で、昨年5月28日の火災発生から1年が過ぎた。県によると、処理場には出火時、廃棄物処理法で定める上限の5倍を超える約2万立方メートルのごみが保管されていたが、現在も放置されている。県は28日、ごみ処理を依頼した一部の排出事業者が30日から撤去を始めると発表。しかし完全撤去のめどは立たず、さらなる発火を恐れる近隣住民からは「早く片付けて」と不安の声が上がっている。

 山中の処理場に積み上がったごみは、今でも高さ十数メートルにも及び、火災で黒っぽく異様な姿を見せている。出火原因について警察や消防は「何らかの原因で自然発火した」としており、県は再び自然発火しないように約20地点で温度管理を実施し、高温になればエコテックに散水を指示しているという。

 当時、現場では廃プラスチックや木くずなど約5600立方メートルが燃え、鎮火に1カ月近くかかった。刺激臭がたちこめ、のどの痛みなど体調不良を訴える人が相次いだ周辺住民たちの記憶は今も生々しく、煙が家の真正面から見えたという50代男性は「人家に燃え移らないか怖かった。臭いも忘れられない」と再発火を強く懸念する。別の男性(53)は「雨が激しく降ると、ごみが流れることもあり心配」と、早期のごみ処理を訴える。

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 ごみの撤去が進まないのは、県が鎮火後の昨年7月にエコテックに対し撤去、処理などを求める措置命令を出しているにもかかわらず、履行していないためだ。今年2月1日付で産廃処理業の廃止を届け出た同社の高山和仁社長(43)は取材に「撤去の意思はあるが、県に産業廃棄物処分業の停止命令を受けた昨年7月以降は収入が全くなく、その余力がない」と話す。

 一方で県は、排出事業者の責任も追及しており、計47事業者に引き取りを要請。第1弾となる30日に10トン(全体の1%未満)の撤去が始まる。ただ要請に応じているのは計7事業者(28日現在)で、最終的に全てのごみが撤去される時期の見通しは立ってない。現段階では、県が県費を投入して撤去を肩代わりする代執行は考えていないという。

 撤去が始まるとの知らせを受けた近隣男性(73)は「始めるのが遅い。そもそも、結果としてあれだけのごみをため込むのを許したのは県の責任だ」と、県にも怒りの矛先を向けている。

=2018/05/29付 西日本新聞朝刊=

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