高齢者サロンが活力の源 福津市の東福間団地 83歳の医師が開設

西日本新聞 ふくおか都市圏版

マージャンに興じる住民たちをにこやかに見守る間さん(中央) 拡大

マージャンに興じる住民たちをにこやかに見守る間さん(中央)

 高齢化が進む福津市東福間団地で、住民が運営する交流施設「ふれ愛サロン」が盛況だ。ピアノ演奏に合わせてみんなで歌い、マージャン卓を囲んでは一喜一憂する。50年前にこの地で開業した小児科医、間(あいだ)厚子さん(83)が昨年、地域に開放する目的で建てた。間さんは「共に年を取った仲間と、老後の楽しみをにぎやかに語り合いたい」と、診察の合間に近くのサロンに通う。

 集合住宅と戸建てに約1800世帯が暮らす東福間団地は昭和40年代から開発された。同市出身の間さんは32歳のとき、夫で内科医だった人麿(ひとまろ)さんと共に医院を開業した。子どもが多かった昭和50~60年代、診察室はいつも満員で往診にも駆け回った。一方、当時盛んだったママさんバレーではエースアタッカーとして活躍し、住民の一員としても地域交流が続いてきた。

 かつて診察した子どもの親たちが診察室に来るようになり、4世代にわたり診てきた家族も。現在は長男夫婦が診察の中心になっているが、「先生の顔を見ると元気になる」となじみの住民がやってくる。そこで「地域のかかりつけ医として貢献できることは何か」と考えるようになった。

 人麿さんが52歳で亡くなって以来、間さんは公私ともに団地の仲間に支えられてきた思いが強く、サロン開設に至った。

 間さんの思いに共感した住民たちが運営委員会を結成し、交代でサロンに詰める。マージャン、俳句、刺繍…様々な特技を持つ住民が先生になって講座を開く。「出歩かなくなる高齢者がいることが、ずっと気がかりだった。おしゃべりの場として寄ってもらえたら」と運営委員長の高橋功さん(73)は呼びかける。

 健康講座では、間さんも話に加わる。住民の松尾常人さん(80)が昨年に急死した妻の話をした。「私の看病に忙しく、朝刊を前に座ったまま息を引き取っていた」とポツリ。「よう働く奥さんやったもんね」「今でも見守ってくれよんしゃあよ」と住民たち。「私も昨年大病をして、食べる気力がなくなる状態が初めて分かった。頑張って食べて、生きようね」と間さん。共に暮らす一員として声を掛け合う。「大みそかに紅白歌合戦をみんなで見よう」というプランもある。

=2018/06/05付 西日本新聞朝刊=