米兵向け「兵隊文庫」北九大に 終戦後、学生らが駐屯地で入手か? 20日まで14冊公開

西日本新聞

 第2次世界大戦中、米国から戦地に赴いた米兵士向けに出版された「兵隊文庫」36冊を、北九州市立大(同市小倉南区)が所蔵している。1946年、小倉外事専門学校として設立された同大は米軍駐屯地(現陸上自衛隊小倉駐屯地)に隣接。文庫は米軍関係者や、米兵士から入手した同大の教官、学生からの寄贈とみられるという。専門家は「米国文化を貪欲に学ぼうとした戦後の学生たちの姿が浮かび上がる」と話す。このうち14冊を、同大図書館で20日まで公開している。

 兵隊文庫を研究する同大外国語学部の北美幸教授(アメリカ史)によると、文庫は43~47年に米国で1322種類、延べ約1億2千万冊出版された。軍服のポケットに入るように大きさは縦10センチ、横15センチほど。小説や詩集が多く、同大には米国文学の名作「ウォールデン 森の生活」の兵隊文庫版もある。

 同大は図書館に31種類36冊を所蔵。ほとんどが寄贈者不明で、詳しい入手経緯は分からない。戦後、英語を学ぶ学生や卒業生が駐屯地で通訳として働いており、北教授は「学生らが何らかの方法で米兵士から文庫を入手し、その後寄贈したのではないか」とみる。

 北教授の調査では、兵隊文庫は国内の大学図書館などに390種類残り、福岡県内で所蔵するのは同大だけという。「貴重な資料と認識されず、単に英語の書物として保管されている可能性もある」と、他にも埋もれた兵隊文庫があると指摘する。

 戦後、民主化が進む中、米国の生活様式や文化に関心が注がれた。北教授は「当時は米国に関する情報が乏しく、若者にとって英語の書物に触れる機会は貴重だったのだろう」と話している。

=2018/06/13付 西日本新聞朝刊=

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