福岡大空襲73年、証言を映像に 福岡市・簀子地区の公民館で試写会 館長「歴史で終わらせぬ」

西日本新聞

 2千人以上が死傷したとされる福岡大空襲から19日で73年。大きな被害が出た福岡市中央区の簀子(すのこ)地区では、地元住民が空襲体験者の証言を映像にまとめている。「体験者の言葉を記録するのは今しかできない」。戦争の記憶を風化させまいと、平和への祈りを込めて作業に励んでいる。

 「防空壕(ごう)の中が暑くて暑くて…。数日前に降った雨の泥水を赤ん坊に頭からかぶせてやった。バケツリレーをする兵隊に『その水をちょっとください』と言ったら『血の一滴だからやられん』と言われた」

 簀子公民館で10日にあった試写会。画面に映し出された嶺スミ子さん(98)は、火の海の中、2人の子どもを抱えて防空壕へ走った壮絶な体験をしっかりとした口調で語っていた。

 1945年6月19日深夜に始まった米軍による焼夷(しょうい)弾投下で、福博の街は焦土と化した。市勢要覧によると、被災戸数は1万2693戸。死者902人、負傷者1078人、行方不明者は244人に上った。旧陸軍兵舎があった福岡城跡に近い同地区は爆撃が激しく、176人が犠牲になった。

 映像化は、地域の歴史を子どもたちに伝えようと、公民館が中心となって2016年に始めた「簀子ヒストリア」の第2弾。館長の遠藤和子さん(73)と主事の太田みゆきさん(60)を中心に、2月から地域のお年寄りを訪ねて取材した。声を掛けた約20人全員が応じてくれた。「福岡大空襲を歴史で終わらせてはならない。記憶に残さないと」。遠藤さんは言葉に力を込める。

 映像は16日に同区大手門の簀子小跡地で催される「灯明ウォッチングin簀子2018」で、午後1時半から上映される。その後、この催しや舞鶴小(同区)での平和学習の様子を盛り込んで再編集し、DVD化する予定。

=2018/06/15付 西日本新聞朝刊=

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ