本木克英監督、念願の社会派作品 池井戸潤原作「空飛ぶタイヤ」

西日本新聞

今に通じる「隠蔽」の構図

 作家池井戸潤の小説を実写化した「空飛ぶタイヤ」が15日、公開された。「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」など数々のテレビドラマで高視聴率をたたき出した池井戸作品だが、映画化は初めて。今作は大企業の不正を題材にした社会派作品で、福岡市をキャンペーンで訪れた本木克英監督は「小説と映画の表現は違う。池井戸さんも理解していて、自由に作らせてもらった」と仕上がりに自信を示す。

 大型トレーラーの脱輪による死傷事故が発生。トレーラーを所有する運送会社は警察から整備不良を疑われ、世間の批判にもさらされる。窮地に立った社長は独自に調査を進め、車両の構造に欠陥があったのでは、と疑うようになり、メーカーに事故原因の再調査を要求。次第にリコール隠しの実態が浮かび上がる。

 劇中、リコール隠しを主導するメーカー幹部に対し、これに同調して虚偽を重ねたり、隠蔽(いんぺい)体質を正そうとしたりする社員らが登場する。このところ政官やスポーツ界で相次いだ危機管理を巡る問題にもダブる。本木監督は「世の中が映画のプロモーションをしているような雰囲気になっている」と苦笑する。

 単なる経済ドラマとして描いたわけではないという。「理不尽に命を奪われた人や遺族に対し、主人公たちがどう向き合い、真実を突き詰めていくか。そこを根幹とした」と話す。

 1998年の「てなもんや商社」で初監督して以来、「釣りバカ日誌」シリーズなどコメディー作品を多く手掛けてきた。「監督デビュー20年の節目に、こういう作品に出合えてよかった」と語り、今後も社会派作品に挑む意欲を示した。

 主人公の運送会社社長を長瀬智也が熱演。対立する自動車メーカー社員役にディーン・フジオカ、メーカーの経営状況に疑問を抱く銀行員役に高橋一生と人気俳優が脇を固め、岸部一徳、笹野高史らベテラン陣の好演も作品を引き立てる。

 ◆映画「空飛ぶタイヤ」 福岡市のT・ジョイ博多などで上映中。

=2018/06/15付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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