1964年の開業以来、死亡事故はゼロ-…

西日本新聞

 1964年の開業以来、死亡事故はゼロ-。日本が世界に誇る新幹線の「安全神話」である。厳密にいえば「車内の乗客が死亡する列車事故は起きていない」ということだ

▼東海道新幹線三島駅で95年、乗降口の扉に指を挟まれた高校生が発車した列車に引きずられてホームから転落、死亡した。九州新幹線でも2011年、新水俣-出水間で中学2年の女子生徒がはねられて亡くなった

▼死者は車内でも。15年に新横浜-小田原間を走っていた東海道新幹線の先頭車両で男が焼身自殺を図り、男と巻き込まれた乗客の女性が死亡した。今月9日には、同区間を走行中、男が刃物で乗客に切り付け、3人が死傷する事件が起きた

▼その衝撃がさめやらぬおととい、安全なはずの新幹線でまた。山陽新幹線の博多発東京行き「のぞみ」が、博多-小倉間で人をはねた。先頭車両の先端が大きく破損していた

▼異常を感じれば、すぐに停止、安全確認するのが基本。運転士は小動物がぶつかったと考えて運転を続けたという。新幹線の線路には高い柵などが設けられ、簡単に立ち入れない。「まさか」という思い込みが運転士の判断につながったのかもしれない

▼線路への立ち入りやホームでの接触や転落、車内で起きる事件や事故。相次ぐ「まさか」が新幹線の安全神話を揺るがす。運行や技術の面だけでなく、あらゆる可能性を想定した安全対策の見直しが必要だ。

=2018/06/16付 西日本新聞朝刊=

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