援交、だまされ続けても…出会い系サイト利用する訳 年収2000万円50代男性の場合

西日本新聞

出会いを求める人たち<2>

 子宮がんが見つかった、肺に転移した…。投資で身を立てる50代の男性は、昨年2月以降、娘ほど年の離れた女性に総額600万円を渡してきた。全部、うそだった。

 出会い系サイトで知り合った。掲示板に書き込みのあった女性をメールで誘うと「お願いします」。実際に会ったら顔がタイプではなく、急な仕事が入ったとごまかして、食事だけならと牛丼店に入った。

 聞けば、前夫の借金があり、幼子を抱えて援助交際を始めたという。何とか生き抜こうとする姿がいとおしく、2千円を握らせた。その後もSOSが届くたびに、年収2千万円の中からできる限りの支援をした。

 それにしても不幸な事が多すぎる。また入院したというから病室の写真を求めると、インターネット上で拾える別の病院の画像が送られてきた。「良心を信じてきたのに」。メールでは「返金します」。だが、今も約束は守られていない。

   ■    ■

 その男は、ファミリーレストランを指定し、出会い系サイトの実情を記者に明かした。知人が「援デリ」に関わっているという。サイト上で素人の援助交際を装って約束を取り付け、女性を派遣するデリバリーヘルスのような業態だ。

 出会い系サイトは1995年、パソコンの基本ソフト「ウィンドウズ95」が発売され、ネットが急速に普及する中で登場した。有名サイトの場合、女性の利用は無料、男性はポイントを購入し、掲示板を閲覧するには1ポイント(10円)、メール送信は5ポイント(50円)などと設定されている。

 「援交なんて、ざら。最近は中学生を使う業者もいますよ」。風営法で派遣型風俗業は18歳未満を雇えない。一方、サイトやアプリを介した文字のやりとりだけでは、取り締まりの目が届きにくい。「トラブルですか。多々あります」。児童買春で逮捕されたり、軽い気持ちで始めた援助交際をやめようとした少女が「組織の人間」に脅されて売春を強要され続けたり。

 意に反して性を売る女性たちを守るNPO法人ライトハウス(東京)の坂本新事務局長は「親の育児放棄で弟の給食費を払えず、援助交際しか選択肢がなかったという高校生もいた。近年の家庭環境や貧困も背景にある」と指摘する。

   ■    ■

 だまされた投資家は独り身で、出会い系サイトの利用歴が10年を超える。長らく弱肉強食のビジネス界に身を置いてきた。サイトの扉をたたくのは、決まって仕事がうまくいかず「気分が下の下」のときだった。

 これまでに約800人と会った。小学校教諭や麻薬取締官、末期がんの20代もいた。どれも自称で確かめようはないが、彼女たちの「何とかなるよ」のひと言には何度も救われた。

 「誰にもとがめられないあいまいな世界では、ただのおやじ。知事を辞めた人の気持ちも分かる」。利用し、利用される出会いが、ネットの闇にあふれる。

●連載で伝えたいこと

 出会い系サイトや専用アプリ、SNS…。インターネットの普及で出会いの間口が広がっている。半面、見えない世界だけに危険も潜む。

 神奈川県座間市で昨年10月、9人の切断遺体が見つかった。今年2月には大阪市の民泊で女性の遺体が見つかり、米国人の男が傷害致死罪などで起訴された。いずれも被害者と加害者はSNSで通じていた。

 子どもたちも巻き込まれている。警察庁によると2017年、アプリやSNSを介して買春などの被害に遭った児童生徒は1813人に上り、5年連続で最多を更新した。

 もちろん健全な出会いもたくさんある。婚活市場は盛り上がり、新ビジネスも続々と登場している。光と影、灰色の世界。この連載では「出会い」をキーワードに時代の今を切り取る。

=2018/06/21 西日本新聞=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ