外国人に出会い求める人びと 「好きなのは僕なのか、『日本人』なのか」

西日本新聞

出会いを求める人たち<6>

 外人ハンターとは「外国人なら誰でもいいから付き合いたい」という日本人を揶揄して使われる。アヤコさん(24)=仮名=の場合、誰でもいいわけではない。

 福岡市の繁華街の一角に、欧米出身者が多く集まるバーがある。5月末の週末に訪ねると、英国人や米国人、メキシコ人たちが談笑していた。グループの輪に彼女の姿もあった。

 留学経験を生かし、今春から英会話学校で働いている。就職活動は苦戦した。企業を巡って感じた年功序列の上下関係、みんな同じに見える就活生のダークスーツも息苦しかった。入社後も仕事が終わると、逃げ出すように外国人が集うバーやクラブへ向かう。

 ストレートな表現や対等な会話が心地いい。日本人ともそんな関係を築ければいいが、周りには控えめな人が多い気がする。「個性的だと浮いちゃうんですよね」。30歳までに米国へ移り住み、結婚したい。

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 1位が中国、2位はフィリピン-。2016年度の人口動態調査によると、国際結婚で「夫が日本人」の場合、妻の国籍は20年前と上位が逆転した。ただ、8割以上がアジア系という傾向は変わらない。この間、「妻が日本人」では夫の国籍の多様化が進み、韓国・朝鮮、米国を抑えて「その他の国」が最多になった。

 「男性に多様性が乏しいのは、女性より上でいたいという根強い意識が一因ではないか」。西南学院大の宮原哲教授(コミュニケーション学)は指摘する。実際、先入観でアジア女性を従順とみている人は多い。

 生涯未婚率にも女性は7人に1人、男性は4人に1人と差がある(15年、国勢調査)。国際結婚に限らず「相手は年下、収入は自分が上」などと条件を絞れば出会いの機会は狭まる。

 宮原教授の娘も、インド人とフィリピン人の両親を持つ米国育ちのマレーシア人と結婚した。「私の孫となれば、もはや何人でもない。強いて言えば地球人。外国人だから、日本人だからと相手をカテゴリーで評価するのではなく、人と人として向き合いたい」

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 フェイスブックを始めて4年、福岡市の会社で役員を務める男性(51)は友達登録が5千人に達した。大半は外国人で、日本人との交際がなかなか続かず「世界に目を向けた」という。

 外国籍の知人が催すパーティーにも積極的に顔を出している。多様な異文化に触れていくうちに、本来の自分が見えてきた。「性格が楽天的すぎる。住む国を間違えた」

 7月にはフェイスブックの友達で30代のルーマニア人女性が来日する。簡単な日本語でやりとりし、2年かけて関係を温めてきた。初対面が待ち遠しい。
 不安もある。日々届くメッセージには「日本人の男性、すごく格好いい。大好き」といった内容が書かれている。彼女が好きなのは「日本人」なのか、それとも「僕」なのか。

●連載で伝えたいこと

 出会い系サイトや専用アプリ、SNS…。インターネットの普及で出会いの間口が広がっている。半面、見えない世界だけに危険も潜む。

 神奈川県座間市で昨年10月、9人の切断遺体が見つかった。今年2月には大阪市の民泊で女性の遺体が見つかり、米国人の男が傷害致死罪などで起訴された。いずれも被害者と加害者はSNSで通じていた。

 子どもたちも巻き込まれている。警察庁によると2017年、アプリやSNSを介して買春などの被害に遭った児童生徒は1813人に上り、5年連続で最多を更新した。

 もちろん健全な出会いもたくさんある。婚活市場は盛り上がり、新ビジネスも続々と登場している。光と影、灰色の世界。この連載では「出会い」をキーワードに時代の今を切り取る。

=2018/06/21 西日本新聞=

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