こつこつためた5億円、大学に寄付した男性の思い「私は財産ゼロで終えます」

西日本新聞

九州大に5億円寄付した中本博雄さん

 若い頃から一心に学び、働いた。ただ一つ、得られなかったもの。大学の学びを、学生たちに悔いなく送ってもらおうと今春、九州大に5億1600万円を寄付した。「お金は残すよりも、世間に役立たせたい」と話す。清貧を重んじ、こつこつとためた。

 戦前に生まれ、旧満州から終戦翌年に引き揚げた。数学や科学が好きで小倉西高時代、恩師から九大への進学を勧められたが、家が貧しく父親の了承が得られなかった。それでも育ててくれた親への感謝の気持ちは強く、親が営む個人商店で「客の笑顔のため」に、27歳まで無給で働いた。

 断ち切れない勉学への思い。独学を重ねて身に付けた知識を基に、静電気を利用したコピー機の試作機を作り上げ、米国と日本で特許を取得した。「失敗しても失敗してもあきらめない。執念を持ち続けて頑張れば道は開ける」。取得した特許は「大学の卒業証書みたいなもの」と笑う。

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ