無の境地極めるために 曹洞宗晧台寺の外国人僧侶・ハーシュ霊峰さん(44)

西日本新聞

 無の境地を極めるため米国から欧州、そして日本へと渡った。

 江戸初期の1608年に創建された長崎三大寺の一つ、曹洞宗晧台寺(こうたいじ)(長崎市)。昨年5月から斎藤芳寛住職(75)の待者として182センチの身にけさをまとい、禅の修行を積む。「座禅は全ての感情から解き放ち、本来の自分を見つめることができる。一日中修行に専念できる日本に来てよかったと思います」

 米国ウィスコンシン州で生まれ育った。両親はキリスト教徒だったが、1960年代のヒッピー文化の影響で無宗教に。自身も宗教にとらわれない環境で育った。

 座禅を始めたのは16歳のとき。進路や両親の離婚に悩み、本を読みあさるうちに曹洞宗の書物に出合った。座禅を試すと心が落ち着き、日頃言わなくていい愚痴を言っていたり、母親に悪い態度をとったりしていた自分に気づいた。「求めていたのはこれだと思った」

 ニューオーリンズ大で哲学と英米文学を学び、95年に卒業。翌年に出家し、僧名「霊峰」を得た。スイス人の指導者に学ぶため25歳で同国に移住し、英語教師ととして働きながら国籍も取得した。その師匠が亡くなった翌年の2010年、より修行に専念するため来日。熊本県や石川県、福井県の禅寺を渡り、教えに感銘を受けた斎藤住職を訪ねた。

 境内の僧堂で約20人の僧とともに寝起きし、修行に励む日々。日本語も勉強中だが「彼ほど熱心で真面目な僧侶はいない」と斎藤住職。後輩を指導する「役寮」も務め、今年3月からは海外への指導も見据え、布教国際部主任の肩書も与えられた。

 情報とカネが瞬時に行き来するグローバル化した現代。「社会の中で生きている私たちは、常に欲望であふれている。自分の考えている世界がいかに小さいか気づいてほしい」。あと数年日本で修行を続け、将来は再び欧州に戻り、座禅そのものの良さを伝えたいと考えている。

■私の好きな音楽

 ジャズをよく聞きます。特にジャズ界の巨匠でサックス奏者のジョン・コルトレーンの音楽が好きで、即興演奏する「ありのまま」という精神に共感します。5歳の頃からピアノを始め、一時は真剣に音楽家を目指していました。「今」を大切にするという点で仏教と共通している気がします。

=2018/06/25付 西日本新聞朝刊=

長崎県の天気予報

PR

長崎 アクセスランキング

PR

注目のテーマ