1978年6月25日、1組のバンドがプロデビューした…

西日本新聞

 1978年6月25日、1組のバンドがプロデビューした。最初の曲は「勝手にシンドバッド」。意味不明のタイトルだが、そもそも意味などない。ヒット曲「勝手にしやがれ」と「渚のシンドバッド」を合体したのだから

▼当時はメンバーの多くが大学生。騒々しいだけの一発屋かと思ったら、翌年発表の「いとしのエリー」で評価を一変させた。数々のバラードでも、哀調を帯びたしゃがれ声が切々と響いた

▼長嶋茂雄さんを歌い、基地の沖縄や不倫も曲にした。時に女性を露骨に性の対象とし、縦横無尽の卑猥(ひわい)な言葉遣い。悪のりした言動で物議も醸す。それなのに女性からも支持される。世代を超えて愛唱される。老舗なのに常に新鮮。疾走40年。サザンオールスターズの不思議な魅力だ

▼ボーカルの桑田佳祐さんも現在62歳。食道がんを患ったのどである。あの絶叫調で負担が心配だが、人生の後半戦をどう歌い継ぐのか楽しみでもある

▼「僕の生きがいは/数えきれないその笑顔」(アイ・アム・ユア・シンガー)。サザンからファンへ、感謝を込めた曲にある。いえいえ、こちらこそ。涙したり励まされたり。私たちと同じ時代にいてくれてありがとう、の思いを伝えたい

▼本稿を書きつつ鼻歌を奏でた。何となくは歌える。けれど、独特の「桑田言葉」を間違わずに歌い通すのは困難至極。彼らは歌詞カードの重要性を思い知らせたバンドでもある。

=2018/06/25付 西日本新聞朝刊=

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ