アルコールはほぼ毎晩
アルコールはほぼ毎晩。たばこは1日20本。運動は月に1度のゴルフだけ。当然、健康診断のたびに「ジョギングなど適度な運動を」と小言を言われる私が、走ることが「生きがい」と言い切る女性を半年にわたって取材した。
バルセロナ五輪マラソン日本代表の小鴨由水(ゆみ)さん(46)。25日で終了した聞き書き「人生走快」の主人公である。
小鴨さんの人生はまさに七転び八起き。五輪での惨敗やパートナーとの死別など、たびたび苦境に直面するが、持ち前の明るさとのんきさで乗り越えてきた。こういう精神構造の人だから、初マラソン世界最高記録という快挙をなし得たのかもしれない。
ただ、小鴨さんが決して私に話さなかったこともある。実の弟さんに聞いたのだが、高校時代にユニホームを破られるなど陰湿ないじめに遭っていたそうだ。彼女の笑顔には苦しみを克服した者だけが持ち得る、一段上の強さが宿っていた。 (鶴丸哲雄)
=2018/06/26付 西日本新聞朝刊=