僕は目で音を聴く(10) 映画は好きなのですが

 私の周りは映画が好きな聴覚障害者が多いです。でも、邦画が好きな人は少数ではないでしょうか。字幕が付いていないものがほとんどだからです。

 もちろん洋画は外国語(ほぼ英語)ですので、翻訳された日本語の字幕が出ます。邦画の場合は、字幕を付けていない制作会社が多いです。日本語だから不要だろうと考えているのでしょうが…。「お金がかかるから」という話もよく聞きます。

 ですので私は邦画、特に日本のアニメをよく知りません。小学生のとき、友だちと付き合う中で、流行に遅れるのは嫌でしたから、アニメだけは頑張って見ていました。音が聞こえないので、絵の動きを必死に覚えて、あとは何となく流れをイメージするだけでした。

 字幕に力を入れている会社もあります。字幕付きの邦画やアニメがたまに上映されますが、短期間だったり、もしくは字幕が付かないバージョンを先に上映した後だったりするケースが少なくありません。聴者(耳の聞こえる人)に比べて見る機会が遅くなることになりますので、合理的な配慮ではないのではないかなあと感じています。

 びっくりしたのは、テレビで放送されたときは字幕付きだったアニメのDVDを買ったところ、字幕がついていなかったこと。高いお金を払ったので、すごくがっかりしたことを覚えています。

 洋画のDVDで、パッケージの裏面に「字幕あり」と書かれてあるものでも、安心はできません。日本人が出て話すシーンでは字幕が出ず、余計に腹が立ったことがあります。

 テレビでは、切り替えれば字幕付きの放送を見ることができる番組が増えて久しいです。ただ、すべての放送をリアルタイムで字幕付きに、というのは大変なことでしょう。でも映画だったら、DVDなどのソフトにするのなら-。日本語にも字幕を付けることは、そう難しいことではないのではないでしょうか。私たちも、もっといろんな映画を楽しみたいのです。
 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2018/06/21付 西日本新聞朝刊=

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