株主総会 不祥事続発の体質を問う

西日本新聞

 3月期決算企業の定時株主総会が先週、ピークを迎えた。

 今年の総会は、昨年まで進んできた開催日の分散化が頭打ちになったこと、株主が議案を提出して経営に働き掛ける株主提案が増えたこと-が特徴だ。

 株主にとどまらず国民にとっての関心事は、この1年足らずの間に神戸製鋼所や三菱マテリアル、東レ、日産自動車、SUBARU(スバル)、川崎重工業、JR西日本など日本を代表する企業で発覚した一連の不祥事への対応である。企業はどんな教訓を得て再発防止策にどう生かしたか。各社のガバナンス(統治)改革は進んだのか。

 不祥事を起こした企業の経営陣は一様に謝罪し再発防止の決意を語ったが、説明責任を十分果たしたとは言い難い。総会終了で不祥事のみそぎが済んだわけではない。徹底的な原因究明と、それに基づく不断の企業体質改善や統治改革が必要だ。

 完成車の検査を巡る不正のほか、燃費や排ガスの検査データ改ざんが発覚したスバルの総会では、社長が「企業体質を根幹から変革する」と謝罪した。株主からは「社長は現場へ足を運んでいるのか」「改善策の具体案が見えない」など厳しい声が上がったという。

 グループ会社の品質不正問題発覚に続き、本社でも日本工業規格(JIS)に満たないコンクリート原料を適合品として出荷していたことが表面化した三菱マテリアルの総会でも、株主が十分納得できる説明はなされなかったようだ。

 ともに経営トップは交代したが不正を招いた企業風土改革はこれからだ。追加的に不正が発覚したり、不正の公表が遅れたりした。全容解明に対する姿勢に疑問符が付くようでは困る。

 東京証券取引所が6月、上場企業の行動指針「コーポレートガバナンス・コード」を改定した。一段と経営の透明性を高め、外部の監視の目を届きやすくすることが目的だ。親密な企業同士による株式持ち合いの削減や、女性・外国人の取締役登用、原則2人以上の社外取締役起用などの改革も盛り込んだ。

 ただ、制度を整えても運用が伴わなければ効果は望めない。

 一連の不祥事では、「データの乖離(かいり)は僅差」「安全や強度に問題はない」など、企業間取引特有の契約に対する認識の甘さや、製造物への責任の欠如が浮かび上がった。さらに不正の隠蔽(いんぺい)をはじめ、是正の指示や対策が現場に浸透しないなど、内部統制のお粗末さも露呈した。

 株主総会は企業統治を問う場でもある。株主の提言や指摘も踏まえ、不祥事に揺れた企業は改めて対応に問題はないかどうか、厳しく点検をしてほしい。

=2018/07/01付 西日本新聞朝刊=

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