タイ洞窟脱出、三つの選択肢 いずれも難題…知事「救出時期は言えない」

西日本新聞

 【チェンライ浜田耕治】タイ北部チェンライ県の洞窟内で地元サッカーチームの少年ら13人が行方不明になって10日目に無事発見されたが、ナロンサク県知事は4日、救出時期の見通しは立たないと述べた。13人が脱出するには三つの選択肢があるが、いずれも難題が待ち受けている。

 「救出時期は言えない。状況を見ないと分からない」。4日に記者会見した知事は苦しい表情でこう繰り返した。13人は発見されたものの、洞窟入り口から約5キロ奥の空洞にとどまったままだ。洞窟は乾期には歩いて入ることが可能だが、雨期(7~10月)は水で満たされる。選択肢の一つとして浮上しているのが、少年たちが潜水して脱出する方法だ。

 ただ、リスクは大きい。少年らは衰弱した体で少なくとも2・5キロ以上泳ぐ必要がある。迷路のように狭い空間を通り、水が濁って視界もゼロになるため、プロでも容易ではない。しかもタイの子どもたちは一般的に学校で水泳を習う慣習はなく、救助作業に当たった潜水士は「少年らは泳げない。水面から顔を出して移動できるまで待つ方が得策だ」と話す。

 少年らは現在、潜水士の指導を受け、潜水マスクを着けて呼吸の方法などの訓練を始めている。だが「100パーセント、安全が確保できない限り、実行はできない」(タイ海軍特殊部隊幹部)との声は根強い。

 一方、救助当局が最優先しているのが排水作業だ。数十本のポンプを洞窟内に入れて水をくみ出し、脱出路をつくるのが狙いだ。

 当局は洞窟周辺の二つの小川をせき止め、洞窟への水の流入を阻止する作業も進めている。「専門家と水脈を調査した。1日当たり10トンの雨水の流入を防げるだろう」と当局者。

 ただし、現地では5日に雨も予想され、天候次第で水位が再び上昇する可能性もある。この洞窟の元管理者のガモンさん(41)は「8月にはモンスーンの大雨で現在より水位が上がるだろう」と警告する。

 排水作業は成功までに「数カ月かかる」との指摘がある。少年らはその間、高温多湿の洞窟内にとどまることになり、食料や水があっても感染症や精神的ダメージのリスクがある。

 プラユット首相は4日、記者団に「地上から直接(13人がいる場所に)穴を掘るという選択肢もある」と述べた。迅速に救出できるという利点があるが、掘削地点の特定は難しい。

 洞窟のある山は急斜面で、森林がうっそうと生い茂る。13人の捜索段階で山腹を掘削した大学教授は地元メディアに「掘削機械の運搬は難しく、石灰岩の岩盤は壊れやすい。それでも要請があれば動けるようスタンバイしている」と話した。

=2018/07/05付 西日本新聞朝刊=

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