「亡き母のメッセージかな」思い出の品…1年ぶりに豪雨被災者の手に

西日本新聞

 九州豪雨から1年の節目に合わせ、被災地の福岡県朝倉市は4日、濁流にのまれた持ち主不明の日用品や写真などを公開した。氾濫した河川の流域、遠くは佐賀県で見つかった物を市が保管していた。家族の思い出の品を見つけた市民は感慨に浸った。

 会場の多目的施設「サンライズ杷木」で公開されたのは腕時計、ランドセル、賞状、仏像など七十数点と約1500枚の写真。写真の汚れは、朝倉高の写真部員や保護者らがボランティアで落とした。

 朝倉市杷木星丸の自宅が流された会社員山下燦実(あきみ)さん(24)は、豪雨の4カ月前に49歳で病死した母美恵さんの裁縫箱を見つけた。

 「亡くなったばかりで、心の整理ができないうちに全部流された。お父さんの服を縫っていたお母さんの姿が頭に浮かんだ」

 裁縫箱の所々に泥が付いていたが、中のはさみやまち針は残っていた。「災害のことは思い出したくないけれど、1年を前に見つかったのは『前向きになれ』っていうお母さんからのメッセージなのかな」と笑顔で話した。

 同市杷木林田の実家が被災した会社員時川健一さん(46)は「何一つ残らず流されたのに、思ったよりも展示品が少ない」と感じたが、祖母の葬儀の写真を30枚ほど見つけた。「これだけでもあって良かった。大切にしたい」。親戚一同が写った一枚を手に喜びをかみしめた。

 市は6日まで公開し、持ち主が分かったらその場で返却する。

=2018/07/05付 西日本新聞朝刊=

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