僕は目で音を聴く(11) 自分に合った学校を選ぼう

 私は中学まで地域の学校に通っていました。授業内容が全く分からず、いつも成績は悪かったです。中学では国語と英語だけ難聴の生徒向けの授業(難聴学級)があったので、内容を理解することはできました。それ以外の教科はほかの友だちと一緒。聴覚障害者が口の動きで理解できるよう意識して話してくれる先生もいたものの、中には早口だったり、声が低かったりする人もいました。

 補聴器をしていればある程度は聞こえるのでは…と思う方もいらっしゃるでしょうが、私の場合はところどころ音を拾うような感じなので、内容がスッと頭に入るわけではありません。いつも先生の唇を見なければいけないので、集中力が常に必要になり疲れます。

 途中で先生が生徒に背を向けることもあり、そこから内容が分からなくなってしまいます。なので居眠りしたり、漫画を描いたりすることもたびたびありました。黒板を書き写しても、肝心の内容を理解していないので、後でノートを見返してもさっぱり分かりません。

 美術が専門の高校を目指して受験しましたが、成績が届かず不合格に。高校はろう学校(現在の特別支援学校)に進学することにしました。最初は、初めて見る手話の世界に戸惑いました。手話を使えるようになると、おもしろいことに授業の内容がどんどん頭の中に入ってきました。やはり先生の話を理解できるということが大きかったです。1クラスに生徒が3人ほどだったので、マンツーマンに近い状態で授業に集中することもできました。とにかく感動したことが今も忘れられません。

 国内では長い間、手話が言語として障害者基本法に明文化されていなかったためか、手話を教えていないろう学校もあるそうです。もちろん地域の友だちと一緒に過ごせる近くの学校に通いたい人も少なくないでしょう。私の場合はろう学校での専門的な教育が合いました。障害の程度や学校環境をもとに、自分に合った進路を選びたいものです。
 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2018/06/28付 西日本新聞朝刊=

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