被災農地、国補助得られず 朝倉の一部、市対応遅れ 九州豪雨

西日本新聞

 昨年7月の九州豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市で、農林水産省の災害復旧事業が適用されない被災農地が相当数に上ることが、市などへの取材で分かった。農家は市へ適用を申し出たが、市の対応が遅れて国への申請が期限内にできなかったのが原因。国の補助が受けられなくなったため、市は単独事業として復旧を支援する方針だが、対象件数を把握しておらず、事業の総額は見通せない。農家からは「費用が膨大になった場合、市だけで負担できるのか」との不安が漏れる。

 九州豪雨は激甚災害指定を受けており、朝倉市の被災農地が同省の復旧事業の適用を受けると、国が工事費の98・2%を負担。残りは市1・26%、農家0・54%の負担となる。

 適用には被害箇所ごとに面積や工事費を算定し、現地写真を添えた「災害復旧事業計画概要書」を市が作成し、県を通じて九州農政局に提出する必要がある。

 国への提出期限は原則、災害発生から60日以内。九州豪雨では昨年9月上旬だったが、国は被害の甚大さを考慮して柔軟に対応、昨年末まで申請を受け付けた。

 市も、農家によっては人的被害や家屋被害への対応を優先し、農地が後回しになると判断。申し出の期限を延長したが、延長後の申し出が数百件を超えて現地確認に手間取るなどしたことから、一部で概要書作成が間に合わなくなったという。

 市農林商工部は「ぎりぎりまで必死に作業したが、全ての対応はできなかった」と弁明。市単独事業になった場合の農家負担については「未定」としており、国の事業適用に比べ負担が重くなる可能性もある。

 ある農家は「同じ日に同じように市に申し出て、国の事業となった場所もあれば、そうでないのもある」と市の対応を問題視。「市は今からでも国に申請を受け付けるよう働きかけるべきだ」と訴える。

 九州農政局防災課は「福岡県分を一括で予算化するために申請期限は必要だった。今回の問題は承知しており、国として支援ができないか市や県と協議したい」としている。

=2018/07/11付 西日本新聞朝刊=