ベトナム国籍「山のぼせ」誕生 博多祇園山笠に心奪われた留学生 来日6年、夢かなえ走り抜く

西日本新聞

約5キロの追い山コースを完走したレ・ディン・チョンさん 拡大

約5キロの追い山コースを完走したレ・ディン・チョンさん

 ベトナム国籍の「山のぼせ」が一人、今年の博多祇園山笠で誕生した。福岡大の留学生レ・ディン・チョンさん(27)。山笠を学ぶ学内プログラムを通じての初参加だったが、この日、五番山笠・大黒流(ながれ)で廻(まわ)り止めまでの5キロを走り抜き、「来年からもぜひ個人的に祭りに出たい」と山笠の魅力にすっかり夢中だ。

 来日6年目。2014年夏に「オイサ」と叫びながら街を駆ける男たちに心を奪われた。待ちわびた夢の実現だが、見るとやるでは大違い。棒に付けば、山笠の重みがずしりとめり込む。筋肉痛の肩をさするが、それでも「山笠を舁くのは本当に楽しい」と笑顔。

 醍醐味(だいごみ)は、舁き手の呼吸をそろえて走ること。「山笠を通じ、チームワークや人の話を聴くことの大切さを学んだ」と話す。

 線の細い印象だった日本の若者への見方も180度変わった。流の舁き手は誰もが屈強な体。特に子どもたちが勇壮に走る姿には「自分が恥ずかしくなった」。最初は少し恥ずかしかった締め込み姿も、伝統を重んじる博多の人々を知るにつれ、同じ装束に誇りを感じるようになったという。

 廻り止めに着いたチョンさんの水法被は勢水と汗でびっしょり。見送りの舁き棒に3回付けたというが、「すぐ交代させられて残念」と物足りない様子。「来年はもっとたくさん舁き棒に付きたい」とぬれた額を光らせた。

=2018/07/16付 西日本新聞朝刊=

福岡県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ