「廃校」で外国人研修、“一石二鳥”の取り組みに注目 急増する実習生の施設確保へ 全国のモデルケースに

西日本新聞

閉校した南瀬小前で新たな研修施設への期待を語る花田早美さん=鹿児島県薩摩川内市 拡大

閉校した南瀬小前で新たな研修施設への期待を語る花田早美さん=鹿児島県薩摩川内市

 日本で働きながら技術を学ぶ外国人技能実習生を受け入れている鹿児島市の監理団体が、鹿児島県内の閉校した小学校を実習生の研修施設として活用する計画を進めている。人手不足などを背景に、来日する技能実習生は急増しており、語学などを学ぶ施設の確保は喫緊の課題。一方、地方では少子化の影響で学校の統廃合が進み、廃校が増え続けている。国際理解と地域再生に向けた一石二鳥の試みが注目されている。

人手不足背景に技能実習生急増

 計画しているのは、鹿児島市の監理団体「中小企業地域振興事業協同組合」と同「IDDO」。技能実習生は来日前後に日本語や法令などの講習を原則320時間受ける必要があり、監理団体は受け入れに当たって、日本語講習を行う機関の手配や宿泊先などを用意しなければならない。

 法務省によると、鹿児島県の2012年末の実習生は1739人で17年末は3738人と倍増。新たな語学研修や宿泊施設を探していた両団体は設備が整い、設置費用が節減できる廃校に着目し、検討してきた。

10年で22校閉校 薩摩川内市

 同県薩摩川内市では08年から今年3月までに小中学校22校が閉校。同市には企業誘致などのために1億円を上限にした改修費用の助成制度があり、IDDOの岩神徹也理事長(55)は「薩摩川内市の助成は魅力的だった」と言う。

 結果、中小企業地域振興事業協同組合は同市の山田小跡、IDDOが南瀬(のうぜ)小跡をそれぞれ活用。いずれも最大60人が宿泊、研修可能な施設に改修する。同組合は早ければ今秋から利用を始め、IDDOは来春の運用開始を目指し、ベトナムや中国、インドネシアなどの実習生を受け入れる。

全国のモデルケースに

 廃校の利活用が決まり、南瀬小の地域自治会の花田早美会長(69)は「違う文化の人を受け入れることが地域を開くことになる」と期待。岩神理事長は「人が集うことでいろんな可能性が生まれる。地域と協力していきたい」と語る。

 中小企業地域振興事業協同組合の岩崎誠代表(47)は「実習生は全国で取り合う状況。鹿児島に来て良かったと思ってもらうことが大事で新たな施設はアピールポイントになる。全国のモデルケースにしたい」と意気込む。

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【ワードBOX】外国人技能実習生の監理団体

 技能実習生を受け入れ、各企業に技能実習の適正な実施の確認と指導をする営利を目的としない団体。事業協同組合や商工会などが担っている。受け入れに際しては実習生の滞在施設を整え、実習前の日本語教育や日本の文化、法律などの指導が定められている。近年、実習生に対する賃金未払いなどが社会問題になったことから、昨年11月に施行された技能実習適正化法で監理団体は国の許可制となり、事業報告などを義務化。国や団体などの責務が厳格化される一方、優良な団体は実習期間の延長や受け入れ人数枠の拡大などが認められ、自前で施設や設備などを整える団体が増えつつある。

=2018/07/17付 西日本新聞朝刊=

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