通常国会閉幕 「国権の最高機関」なのか

 延長を含め182日間と約半年に及んだ通常国会があす閉幕する。存在感の低下が指摘されて久しい国会だが、これほど空虚な国会も近年珍しかった。

 憲法が規定する「国権の最高機関」の名が泣く体たらくだ。少数意見も尊重して徹底的に議論を尽くし、よりよい結論を導く言論の府はどこへ行ったのか。国会改革は待ったなしだ。

 事実上の会期末だったきのうの参院本会議で自民、公明の与党と日本維新の会の賛成多数で可決、成立したカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法の審議が今国会を象徴した。

 IRとは分かりにくい名称だが、要は刑法が禁ずる賭博罪の適用対象からカジノを除外する法律だ。カジノ解禁でさまざまな影響が懸念されている。

 ギャンブル依存症の拡大▽犯罪資金の流入や暴力団の介入▽入場客への金銭貸し付けをカジノ事業者に認めること▽国会審議の対象にならず政令などで決める内容が331項目もあること-などだ。

 共同通信社の世論調査でも、整備法について「通常国会で成立させる必要はない」との回答は69・0%に達した。

 ところが政府は曖昧な答弁に終始し、国会審議は全く深まらなかった。最後は与党が「数の力」で押し切った。

 西日本豪雨で200人以上が亡くなっているのに、国土交通相は災害対応に専念せずIR法案審議で国会に張り付いた。

 延長国会では、働き方改革関連法も参院定数6増の改正公選法もほぼ同じ経緯をたどった。

 野党の質問に正面から答えようとしない安倍晋三首相や加藤勝信厚生労働相の姿勢を、法政大の上西充子教授が「ご飯論法」とツイッターに投稿して話題になった。

 「朝ごはんは食べたか」と聞かれた際に、パンは食べたが、ご飯は食べていないので「食べなかった」と答えた-ということだ。言葉が命とされる政治家がこんな話法を使って恥ずかしくないのか。

 私たちは延長国会の課題として、森友・加計(かけ)学園問題など「政権に絡む疑惑の解明を優先すべきだ」と指摘した。

 「信なくば立たず」の格言通り、政治と行政への信頼を取り戻さないと、どんなに立派な政策であっても、国民の理解は得られないと考えるからだ。

 しかし疑惑の解明はまたも、うやむやになった。政府と与党は「追及から逃れた」とほっとしているかもしれないが、そうだとすれば勘違いも甚だしい。

 相次ぐ問題の先送りで、政治や行政に対する国民の不信はもちろん、怒りまで蓄積されたと受け止めるべきだろう。

=2018/07/21付 西日本新聞朝刊=

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