石油業界再編 消費者目線の経営戦略を

西日本新聞

 ガソリンや灯油など石油製品の安定供給は石油元売り会社の使命だ。石油は災害時のエネルギーとして「最後のとりで」ともいわれる。

 石油業界の再編が一段落した。暗礁に乗り上げていた石油元売り国内2位の出光興産と4位の昭和シェル石油が2019年4月の経営統合で合意した。

 出光の大株主で統合に反対してきた創業家が態度を軟化させたためだ。これで石油元売り大手は、首位のJXTGホールディングス▽出光・昭和シェル連合▽コスモエネルギーホールディングス‐の3陣営になる。

 ただ、ガソリンなど石油製品の国内需要は少子高齢化や若者の車離れ、エコカーの普及などで今後も減少は免れない。

 市場が縮む中で石油元売り各社は供給過剰による安売り競争や、過疎地での安定供給継続などの課題を抱えてきた。

 新しい業界地図の下、透明で公正な市場を実現する一方、設備過剰への対応や海外市場開拓など新たな収益基盤を確立して、消費者目線の経営に取り組んでほしい。

 国内の石油製品需要は1999年度の2億4600万キロリットルをピークに現在は約3割減り、2030年には現在よりさらに約2割減ると予想されている。

 そうした事情から、かつて15社ほどが割拠していた業界も1980年代から再編が相次ぎ、昨年4月にはJXホールディングスと東燃ゼネラル石油が統合、国内最大手のJXTGホールディングスが誕生している。

 福岡県門司市(現北九州市門司区)が発祥の出光と、昭和シェルは2015年に経営統合で基本合意したが、企業文化や経営方針が違うと創業家が反対していた。出遅れ感は否めないが、融和と新事業に全力を挙げてもらいたい。

 経済産業省が今月、石油産業の競争力強化に向けた報告書をまとめた。国内競争に追われ、国際化に遅れた石油元売りに対して「国際水準にギアチェンジ」すべきだと提言し、海外展開や輸出に耐え得るコスト競争力の実現が最優先課題とした。

 今後、総合エネルギー産業化や、精製過程で生まれる高付加価値の化学製品の増産、アジアで拡大するガソリン需要をどう取り込むか‐が鍵になる。

 出光は既にベトナムに製油所を建設、現地で出荷を始めた。JXTGも国内製油所で生産するガソリンのベトナム輸出などを計画し、コスモも風力発電事業を強化している。

 忘れてほしくないのは消費者目線の経営だ。適正価格の維持とともに、さまざまなアイデアを駆使して地方の給油拠点維持にも力を尽くしてほしい。

=2018/07/23付 西日本新聞朝刊=

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