公文書不正 「身内の監視」で大丈夫か

西日本新聞

 小手先の弥縫(びほう)策で再発を防げるとは思えない。公文書管理を巡って相次ぐ不正を政府は本当に反省しているのか。そんな疑念すら浮かぶ。

 政府は全閣僚による会議で再発防止策を決めた。内閣府の独立公文書管理監の権限を拡大して府省庁を常時監視する▽決裁後文書の修正を禁止し、変更する場合は決裁を取り直す▽人事院の懲戒処分指針を改定し、改ざんなど悪質な事案は免職を含む厳しい処分を科す-というのが主な内容だ。

 これで再発防止策は万全と考えているなら甘い。第三者の意見も聞いて練り直すべきだ。

 安倍晋三政権を巡る疑惑には公文書のでたらめな扱いが絡む。獣医学部新設の加計(かけ)学園問題では「存在しない」とした「総理のご意向」などとする文書が文部科学省内で見つかった。

 国有地売却の森友学園問題では、経緯を示す決裁文書から首相の妻昭恵氏らの名前が消されるなど改ざんされ、交渉記録が廃棄された。防衛省はイラク派遣部隊が現地の緊迫した情勢を報告した日報を隠蔽(いんぺい)した。

 再発防止策を決めた会議で首相は「職員一人一人がコンプライアンス(法令順守)意識を高めることが重要」と訓示した。果たして問題はそれだけか。

 改ざんや隠蔽、廃棄はなぜ起きたか。政権にとって都合の悪い文書を最初からなかったことにしよう-。そんな意図からではなかったか。官僚が権力に忖度(そんたく)したのか、政治家側から何らかの働き掛けがあったのか。

 肝心の動機や背景は先の国会審議でも未解明だった。そんな状況での再発防止策であることに留意する必要がある。

 不正が発覚した際、府省庁は「職員のメモ」「手控え」「備忘録」などと言い逃れをもくろんだ。保存期間1年未満の文書は担当部署の判断で廃棄できるとする各府省庁の規則が廃棄の根拠として乱用された。

 何が公文書なのか。その定義や保存期間を明確化する公文書管理法の改正に取り組まずに、再発防止などとは言えまい。

 公務員が業務で作った文書はメールも含めて、メモ、手控え、備忘録を問わず公文書として扱うのが基本だ。保存期間1年未満の設定は原則禁止にすべきである。

 監視機能にも懸念がある。独立公文書管理監や府省庁に新設する「公文書監理官室」(仮称)など、政府内部の監視だけで大丈夫か。特定秘密保護法施行に伴って設置された独立公文書管理監だが、いわば本業の特定秘密の監視ですら役割を十分に果たしてきたとは言い難い。

 政権から独立し、専門性も備えた監視の仕組みが必要だ。

=2018/07/24付 西日本新聞朝刊=

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