シナロケ 結成40周年でベスト盤2種類 鮎川誠、28日に福岡で記念ライブ

西日本新聞

「シーナのロックスピリットっちいうのは、夢を見ながら人生をエンジョイすることだね」と語る鮎川誠 拡大

「シーナのロックスピリットっちいうのは、夢を見ながら人生をエンジョイすることだね」と語る鮎川誠

アルファレコード時代の曲を収録した「アーリー・ロケッツ」のジャケット 「ビクター・ロケッツ」のジャケット

「ロックは自由を勝ち取るための音楽」

 ギタリストの鮎川誠=福岡県久留米市出身=率いるロックバンド「シーナ&ロケッツ」が結成40周年を迎えた。集大成となるベストアルバムをリリースし、28日には元「ピチカート・ファイヴ」ボーカリストの野宮真貴をゲストに福岡市でライブに臨む。今年、古希となり、二重の記念のステージに立つ鮎川に話を聞いた。

 3年前、妻シーナが死去した後、ボーカルは鮎川が担ってきた。三女のルーシーが入ることもあるが、それ以外で女性ボーカルを迎えるのは初めて。野宮がシナロケのナンバーを歌う。

 鮎川「ピチカート・ファイヴは1990年代、渋谷系のリーダーバンドで、僕もゲストに入ったことがあるんです。渋谷でベストアルバムのインストアライブにたまたま野宮さんが来てくれてね。彼女はすてきなシンガーでファッションリーダー、シーナと同じにおいがする。シーナの歌を歌ってもらおうっちひらめいて、僕の誕生日にやるライブのゲストを快く引き受けてくれた。自ら選曲してこの中から何曲か歌いたいとメモをもらった時はうれしかったね。野宮さんの独壇場になるよう僕らもノリノリでやります」

 記念ライブの会場は六本松地区の市科学館サイエンスホール。母校九州大の教養部跡地に再開発でできたホールを選んだ。

 鮎川「ロックを思い切りやりたいっち必死になって九大に潜り込んで、入学した日の夜から中洲に出て腹いっぱいやってきた。まさか70歳になって、青春時代の思い出深い六本松でライブをやるなんてとても幸せです」

 40周年のベストアルバムは、アルファレコード時代の曲を収めた「アーリー・ロケッツ」とその後の「ビクター・ロケッツ」の2種類。アルファはYMOのアルバムを送り出すなど80年代カルチャーに旋風を巻き起こした。シナロケは出世作「ユー・メイ・ドリーム」を収めた名盤「真空パック」を世に放つ。

 鮎川「アルファはファッショナブルでインターナショナルな感覚の会社で、時代の風を吹かせよった。これを作れば当たるとかそんな計算じゃなくて、演奏しながら音楽を作るプロセスがものすごく楽しかった」

 「東京へ行った当初は『東京はロックが足りねえぜ』っち連発しよったんです。博多ではロックが満ちあふれる生活だったのに、東京は何万枚売れた、チャートが何位と数字ばかりの世界。そんな中でアルファの村井(邦彦)社長から言われた一言が忘れられない。『思い切り宣伝しなさい』。売れるためにぺこぺこして回るのは恥ずかしいこと、偉大なミュージシャンの教えに反する気がしとった。なのに、社長はたくさんの人に知ってもらうため自分から出ていけっち明るく言われた」

 ビクター移籍後もシナロケは野心的なアルバムを出し続けた。取りわけ94年の「ロック・オン・ベイビー」は全曲、阿久悠が作詞を手掛け話題になった。

 鮎川「たまたまテレビで八代亜紀さんが歌っていて、テロップの歌詞を見て思ったんです。阿久さんの言葉はロックじゃないか、恐れ多いけど言うてみるぜっち。レコード会社がセッティングしてくれて、阿久さんはニタニタって感じで来て『分かりました。詞を書きます』。僕ら、ぶっ飛んだ夫婦っち思われたかもしれん。間もなく家のファクスに歌詞が送られてきて、とぐろを巻くような長い紙でね。さあ作ってみろっち挑戦的で、熱い思いがうれしかった。いい曲ができますようにって巻物みたいにしてしばらく神棚に上げとったね」

 「シーナがよく自分のことを3分間の女優みたいに言うたりしよったんです。曲の中で自分を演じる楽しみ。阿久さんの詞にはすごい主人公がいる」

 ぶれることなく格好良く音楽一筋の鮎川はこれからのロック人生をどう描いているのか。

 鮎川「シーナの分までたっぷり楽しもうと思ってます。僕らはマディ・ウォーターズのレコードがあると聞けば取り寄せて、どげんか歌を歌うんやろうっち思い焦がれる時間があった。今の若い人はネットですぐ答えが出てくるからそんな喜びを知らんかも。自分を成長させてくれるもんもんとした時間がないのが気掛かりです。若い人たちに僕らのロックのやり方、サウンドを伝えたい。ロックは自由を勝ち取るための音楽。正義、愛、平和…真実を見る方に導いてくれるものやけんね」

鮎川誠70歳記念トーク&ライブin福岡 28日午後2時、6時の2回。MCは昼公演が深町健二郎、夜公演が栗田善太郎。セットリストも異なる。各6000円。通し券10000円。問い合わせはプラネット=092(720)8770。

=2018/07/26付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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