「世界中の青空を全部持ってきたような素晴らしい秋日和でございます」…

西日本新聞

 「世界中の青空を全部持ってきたような素晴らしい秋日和でございます」。歴史的なテレビ中継はNHKアナウンサーの名調子で始まった

▼1964年10月10日の東京五輪開会式。前日の雨から一転、首都は快晴に。感動の声が天高く響いた。選手たちも躍動した。彼らに味方したのは何よりも気象条件だった

▼15日間の大会中、東京都心の最高気温は14~23度、最低気温は9~15度で推移。秋特有の変わりやすい天気で雨も降り、空気の潤いも保たれた

▼2020年の東京五輪は過酷だ。競技は7月22日に始まり、同24日の開会式を経て8月9日まで。いくら「暑さは織り込み済み」といっても、世界中から集まるアスリートや観客の命を守るのは容易ではなかろう

▼実は64年の気象データでみても、この期間の都心の最高気温は31~34度、夜間も気温が25度を上回る熱帯夜も出現している。その暑さが年々増して今夏は都心で39度、都西部の青梅市で40度超を観測した

▼秋は欧米のプロスポーツが佳境に入るシーズン。故に国際オリンピック委員会(IOC)は五輪を夏場に設定し、競合を回避することでテレビ放映権料などを確保しているようだ。五輪の商業主義化。それも曲がり角ではないか。列島に限らず世界各地を襲う猛暑。気候は地球規模で変動している。この際、日本が真剣にIOCに日程変更を進言してもよかろう。五輪までまだあと2年ある。

=2018/07/28付 西日本新聞朝刊=

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