国の怠慢、司法が追認 諫干開門命令「無効」判決

西日本新聞

 【解説】有明海の再生へ光が差したとも受け止められた2010年12月の福岡高裁「開門判決」から7年半。開門は実現されないまま、同じ福岡高裁が今度は確定判決を事実上覆し、開門を求めた漁業者側の唯一最大の足掛かりを失わせた。問題解決を先延ばしにしてきた国の意図的ともいえる「怠慢」を司法が追認した-との批判は免れない。

 今回の「請求異議訴訟」は、相当な事情の変化が認められれば判決の効力を失わせることができる制度。個人間の金銭弁済などが対象で、法務省によると、国が敗訴した確定判決に請求異議を訴えるのは「諫干以外では把握していない」。なりふり構わぬ異例の裁判でもあった。

 判決は「漁業権の消滅」という形式論で確定判決を「無効化」する一方、漁獲量の変化や開門による被害の発生など、他の争点については言及することもしなかった。ある民法学者は「高裁は、国に分が悪い争点に触れることを避けた。非開門の結論ありきの判決だ」と批判する。

 武田真一郎成蹊大法科大学院教授(行政法)は「漁業権が更新されれば開門を請求する権利も当然引き継がれるはずで、不当な判決だ」と指摘。漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は今回の判決を逆手に取り「更新された漁業権に基づき、新たな開門請求訴訟を起こすことも当然検討する」として、さらなる法廷闘争に進む可能性を突き付けた。

 漁業者たちの大きなよりどころを奪い、「非開門」で統一してみせた司法判断だが、何ら根本的解決にはつながらない。

=2018/07/31付 西日本新聞朝刊=

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