ナシ園復旧も…「来園呼び掛けられない」農家の苦悩 九州豪雨で被災 道路の復旧追いつかず

西日本新聞

 昨年7月の九州豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市のナシの名産地、黒川地区。8月のナシ狩りシーズンを前に観光農園の農家が頭を抱えている。再開を願う常連客の声を背に農園復旧にこぎつけたものの、アクセス道路の回復が追い付いていないからだ。「安全確保の問題もあり積極的に来園を呼び掛けられない」。今年は味の良いナシも期待される一方、農家のジレンマと先行きへの不安は深まるばかりだ。

 黒川地区はフルーツの里・朝倉市でも知られたナシの産地。もともと客足を期待しづらい山間部にあるため、シーズンになると大々的に園のPRを行い、地道にリピーターを増やしてきた。しかし、昨年の豪雨で果樹園の多くが土砂に埋まり、地区に続く道路も崩落や土砂崩れに遭った。道路は応急工事がされているだけで、今年7月の西日本豪雨もあり、完全復旧にはほど遠い状態が続いている。

 市によると、黒川地区では九州豪雨前に8戸が観光農園を経営していた。豪雨被害で再開を断念した農家もあるが、6戸は常連客からの熱心な要望を受け、客を受け入れられるまでに農園を復旧、8月からの再開を決断した。このうち、JA筑前あさくら高木観光部会に所属し、例年約300組の客を受け入れてきた部会長の町田久寿夫さん(68)は草刈りなど準備作業に汗を流しつつ、「再開を求めるお客さんの声は本当にうれしいけれど、途中の道が大丈夫だろうか」と苦しい胸の内を明かす。旅行業者の大型バスツアーの話もあったが安全面が心配で断った。マイカー客にも「気を付けて来て」としか言えないという。「今年は味も間違いなく良いのに、いつまで豪雨の影響に振り回されなければならないのか…」とため息をつく。別の農家の男性も「地域を支えてきたナシ狩りは、これからどうなっていくのか」と不安を口にした。

 市商工観光課と、あさくら観光協会は「現地に入れなくても農家に電話で直接注文できるし、道の駅や農産物直売所に出荷されたナシの購入も可能なので応援してほしい」と呼び掛けている。

=2018/08/01付 西日本新聞朝刊=

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