学テ底上げ続く 九州の中学、大分除き平均未満

西日本新聞

 文部科学省は31日、4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。3年ぶりに行った理科は、全国平均と下位県の差が前回(2015年度)より縮まった。国語、算数・数学も前年度と同様、下位県の底上げ傾向が続いている。

 テストは小学6年と中学3年の全員が対象で、国公私立計約3万校の約205万人が受けた。国語、算数・数学は基礎問題を問うA問題と、応用力を問うB問題に分けており、これに理科を加えた小中各3教科5科目の学力を調べた。

 全国平均正答数を100点換算した「標準化得点」で比較すると、下位3県と平均の差は、理科は前回15年度が小学1・3ポイント、中学2・5ポイントだったが、今回はそれぞれ1・0、1・5ポイントに縮まった。小学の国語Bと算数AB、中学の国語ABと数学Aも、前回17年度より差が縮小した。一方、上位3県と平均の差は、中学は全科目、小学は2科目で17年度より最大0・6ポイント縮まっており、上位県の成績頭打ちもうかがえる。

 都道府県別の平均正答率(四捨五入)では、石川が小中合わせて5科目、秋田も5科目、福井が3科目で1位となり、従来の上位県が今回も好成績を収めた。九州7県では、大分が小学4科目、中学1科目で全国平均を上回った。熊本は小学の2科目、佐賀も小学の1科目で平均を上回った。中学では大分を除く6県が全科目で全国平均に及ばなかった。

 17年度から公表している20政令市別の平均正答率では、仙台、さいたま、横浜、川崎の4市では小中の全科目が、政令市を除く県平均を上回った。福岡、熊本両市も中学で同様の結果がみられた。文科省の担当者は「政令市などの都市部では、全体的に成績が高い児童生徒の割合が多い傾向がみられる」と分析している。一方、北九州市は7科目が政令市を除く県平均に届かず、大阪市は小中すべてで府平均を下回った。

 各教科の平均正答率は、小学算数Aが過去最低。小学は国語ABと理科、中学は国語ABと数学Bが前回を下回った。B問題はA問題に比べ平均正答率が低く、1回目の07年度テストから続く「応用力が苦手」という傾向は変わっていない。

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採点、分析教員負担重く

 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が31日、公表された。課題を探り、授業改善につなげることを目的とする学力テスト。しかし、いまだに点数重視の「競争主義」から抜け出せない現状もあり、学校現場の大きな負担となっている。教員の働き方改革が叫ばれる中、改めて学力テストの在り方が問われている。

 今回は、夏休み中に学校で分析できるよう、例年より1カ月前倒しして結果が公表された。ただ、福岡県内などでは教育委員会からの指示で、テストが終了した4~5月に自校で採点し、分析している。

 「より早期の授業改革、教育活動に生かすため」(福岡県教委)とされるが、同県京築地区の小学校男性教諭(50代)は「問題用紙のコピーに始まり、採点、分析し、学校で作る『学力向上プラン』に盛り込むところまで短期間で求められる。超過勤務なしではとてもできない」。同県筑豊地区の小学校女性教諭(30代)も「4月の職員研修や会議の多くは学力テストに時間が取られる。年度初めは子どもに関することなど、学校で共有すべきことがもっとあるのに」と言う。

 一方で、九州の学校では春休みの宿題で学力テストの過去問を解かせるなど、授業外での取り組みも目立つ。熊本県の小学校教諭は「結果の悪さが単に個人の課題として取り上げられ、その部分のみを授業外で改善しようとする動きがある。子どもも教員も追い込まれている」と話した。

 近年、教科の正答率が飛躍的に向上した沖縄県。同県は成績上位の秋田県と教員の人事交流を続け、県教委の担当者が各校に出向いてアドバイスするなど、これまでの授業の見直しを一丸となって進める。熊本県の小学校男性教諭(40代)は「現場の負担軽減のためにも、テストの結果を授業改善に生かすサイクルを、自治体レベルで確立させるべきだ」と訴える。

 学力テストに費やす費用は約50億円。来年度からは3年に1度、中学3年生を対象に英語が導入され、予算も負担もさらに膨らむ。福岡県の男性教諭(30代)は「クーラーの設置など、教育予算を使うべきところはもっとあるのでは」と、毎年の全員実施に疑問を投げ掛けた。

=2018/08/01付 西日本新聞朝刊=

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