客引き仲間の罰金負担 熊本ぼったくり “互助会”設け摘発対策

西日本新聞

 熊本地震発生以降、熊本市内の繁華街の飲食店でぼったくり被害が急増している問題で、熊本県外から進出してきた客引きグループのメンバーが金を出し合ってプールし、警察に摘発された仲間の罰金の一部を肩代わりしていることが分かった。仲間内では「保険制度」と呼ばれ、摘発された後の現場復帰を支えているといい、捜査関係者は「罰金を科す意味がなくなる」と警戒している。

 県警などによると、客引き行為への規制の緩さと復興マネーに目を付け、福岡や大阪から熊本市に進出してきた客引きグループは少なくとも三つあり、各30人前後で構成。人通りの多い「下通アーケード」などにスーツ姿の男やショートパンツ姿の女ら複数の客引きを配置し、酔っぱらった男性を言葉巧みにガールズバーへ連れ込み、1人数万~30万円を請求している。

 現在の熊本県条例では単純な客引き行為は取り締まれないが、つきまとったり、腕を引っ張ったりするなど悪質な場合は県迷惑行為防止条例で摘発でき、50万円以下の罰金が科される。「保険制度」では客引きから1人数万円を集めてプール。罰金刑を科されたメンバーの離脱を防ぐ狙いがあるという。

 ぼったくりではない個人の客引きは「復興関連工事で熊本に来てくれた人が多くいる。街の評判が下がって迷惑だ」と県外グループを批判。一部の地元グループは、悪質な客引き行為を目撃したら県警に通報するよう申し合わせており、7月末時点での今年の通報件数は721件。既に昨年1年間の約5倍に上る。

 県警によると、ぼったくりグループは多い時で1店舗当たり月約500万円を稼いでいる。県警や熊本市は、悪質な行為がなくても客引きを取り締まれる条例の制定を目指しており、熊本中央署生活安全課の馬場泰臣課長は「条例制定前に稼いでおこうと、請求金額を50万円に上げるなどエスカレートしている」と話す。

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■3000円のはずが…請求20万円

 熊本市内でぼったくり被害に遭った熊本県内の40代の男性会社員が、店側の悪質な手口の一端を西日本新聞の取材に語った。

 男性は昨年、職場の同僚と飲んだ帰りに繁華街で客引きに誘われ、1人でガールズバーに入った。胸元を強調した服装の女性店員と酒を数杯飲み、約20万円を請求された。「客引きから『飲み放題3千円』と聞いた」と抗議したが、高額な料金が小さな文字で書かれたメニューを示された。

 高圧的な店員に指示されて近くのコンビニの現金自動預払機(ATM)で金を下ろし、半額を払った。提示させられた免許証から住所や氏名を店側に知られており、後日、若い男2人が家に来た。「残りの半分を払わないなら職場に行くしかない」と言われ、泣く泣く払ったという。

 県警は「民事の問題なので介入できない」との立場だが、支払いを巡るトラブルの通報で駆け付けた場合、客と店員に対して「金額に納得していないから契約は成立しない。後日、第三者を立てて話し合うように」と伝え、両者を一度引き離すようにしている。

 被害に遭った男性は、会話相手とは別の女性店員から声を掛けられただけで酒を数杯おごったことになっていた。「お店では楽しい時間を過ごしたが、会計の際に青ざめた」と打ち明けた。

復興マネー狙われる? 熊本の繁華街「ぼったくり」被害急増 県外から客引きグループ進出

=2018/08/04付 西日本新聞朝刊=

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