「旧小学校舎を交流拠点に」復興へ学生案提示 南阿蘇村黒川地区 住民との議論本格化

西日本新聞

学生案の提示を受け、黒川地区の復興プランや地域づくりの在り方について話し合う地元住民たち 拡大

学生案の提示を受け、黒川地区の復興プランや地域づくりの在り方について話し合う地元住民たち

 かつて東海大阿蘇キャンパス(農学部)があり「学生村」と呼ばれた南阿蘇村黒川地区で5日、同大生と地元住民が復興の在り方を考えるワークショップがあった。学生たちは6月から住民の意向を調査し、復興プランを策定。住民を交えた本格論議に乗り出した。

 会場になったのは、6年前に閉校した旧長陽西部小。担当者は、学生のアイデアとして(1)阿蘇の魅力を語り継いでいくための交流イベント(2)大学農場での共同収穫祭(3)地震の記憶を一緒に語り継ぐ活動-などを紹介。旧小学校舎を、住民と学生の交流・防災教育の拠点として整備する案も示された。

 入学直後、下宿アパートで被災した農学部3年の井手良輔さん(21)は「下宿のおばあちゃんのご飯が懐かしく、何でも語り合った。後輩を含め、地域の人々と息長く関わり、復興を応援したい」。地震体験を語り継ぐ活動も続けている。

 ただ、住民の表情は少し複雑でもあった。

 会社員、橋本健次さん(65)は現在、大津町の借り上げ住宅に妻、母と入居しており、6日から小学校近くで自宅の新築工事が始まる。「学生さんたちの気持ちはうれしいが、私たちは目の前の生活で手いっぱい」。廃校を核にした地域復興には賛成だが、まだ将来を考える余裕がないと打ち明けた。

 黒川地区には地元住家約40戸があり、学生約800人が住んでいた。地震後、キャンパスは閉鎖され、大学機能は熊本市に移転。大学側は利用可能な農場を整備し、実習を徐々に再開しているが、キャンパスの本格再建は困難な情勢だ。

 ワークショップ後、学生と住民はそうめん流しで交流を深めた。今後も話し合いを続け、地域の未来像を描いていきたい考えだ。

=2018/08/06付 西日本新聞朝刊=

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