津久見に脈々と歌声響かせ40年 樫の実少年少女合唱団 ジョウヤラ、扇子踊り…地域の伝統も継承

西日本新聞

 津久見市に、来年創立40年を迎える合唱団「津久見樫の実少年少女合唱団」がある。県の代表として国民文化祭に出演するなど、その実力は折り紙付き。少子化が続く中、地域で継承が危ぶまれている民謡や踊りもレパートリーに取り入れ、地域に根ざした合唱団として活発に活動している。

 窓の向こうに瓦とトタン屋根の古い商店街が立ち並ぶ市公民館(同市セメント町)のホールで、3歳から大学生までのメンバーがチームを組み、歌いながら踊る。「アイスクリームの歌」ではソフトクリームの形のように手を頭上で合わせてくるくる回り、ミュージカルのように飽きさせない。団員は卒業生を含め約100人が常時活動しており、ほとんどが市内に住む。

 合唱団の設立は1979年。市民会館の完成に合わせ、青少年育成と文化発信の場として発足した。当初は地元の中学校教諭が指導していたが、翌80年からは浜野征子さん(76)が指導を続けている。児童合唱団の先駆け、杉並児童合唱団(東京)との交流を通じて実力を磨き、国民文化祭出演のほか森山良子さん、中島啓江さんらプロ歌手とも共演するなど活躍の場を広げてきた。地域の高齢者施設慰問も活動の柱だ。

 津久見は昭和期、産出する石灰岩を生かしたセメント産業やマグロ漁、ミカン栽培で栄えたが、産業構造の変化もあって人口減少が続いている。四浦半島の浦々で歌い続けられてきた「ジョウヤラ」(市無形民俗文化財)は、小学校の閉校で継承が危ぶまれたため、「口説き」を書き写してレパートリーに加えた。

 浜野さんが「みんなお魚好きかな」と子どもに問い掛けると、子どもたちは、船をこぐ動きをしながら「ジョウヤラ サッサ」と元気よく歌う。伝統の「扇子踊り」も取り入れて、たおやかな動きを子どもたちに伝えている。

   ◇    ◇

 合唱団の特長は、縦割りの指導にある。練習は、高校生のリーダーが前に立って振り付けなどを示し、中心を担う。幼児-小学校低学年の子どもたちには中学生や高校生が付き添い、優しく丁寧に動きを教える。浜野さんは全体の調整に専念する。堅徳小6年の鳥越天優子さん(12)は「お姉ちゃんから教えてもらって、歌や踊りができるようになるのが楽しい。将来は私も教えたい」と話す。

 現在、指導役のリーダーは津久見高2年の三木冠奈さん(16)。「リーダーになった当初は、緊張しました。大変だけどやりがいがあります。樫の実が最優先なので、忙しい部活動はやっていません」と話す。

 創立40年を来年に控えるが、浜野さんの目はその先を見据えている。「子どもたちは地域に育てられた。地域に恩返しをし、50年を迎えるためにも、成長する姿を見せていきたい」。週末は5時間にも及ぶ練習に力を注いでいる。

=2018/08/20付 西日本新聞朝刊=

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