「すごいばい」101歳女子アナが見た世界遺産 ネットで番組 熊本県天草市の崎津集落

西日本新聞

「ほんと、ありがたかねぇ」と崎津教会の前で手を合わせるはるのちゃん(右)=熊本県天草市河浦町 拡大

「ほんと、ありがたかねぇ」と崎津教会の前で手を合わせるはるのちゃん(右)=熊本県天草市河浦町

崎津教会の内部は、珍しい畳敷きになっている 「世界中の人に見ていただきたいですよね」と崎津漁港を歩くはるのちゃん。奥には崎津教会が見える 「ほんと、すごいばい」。潜伏キリシタンの正月飾り(左)を見て感心しきり。きねがエックス字形に組まれている

 世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ、熊本県天草市の「崎津(さきつ)集落」を地元のインターネット放送局で活躍する「世界最高齢女子アナ」こと大仁田ハルノさん(101)が取材した。世界遺産の魅力に触れ「長生きしたかいがあった」とご満悦で、「世界中の人に見ていただきたい」とアピールしている。ご長寿アナ、はるのちゃんが見た崎津集落とは-。

 7月中旬、市役所などがある中心部から車に揺られて約45分、下島南部の羊角湾に面した小さな漁村、崎津集落(同市河浦町)に着く。ここは、潜伏キリシタンが貝殻を信心具にして拝むなど漁村独特の信仰を育み、250年にわたって守り続けた土地。集落中心部など1・3ヘクタールが世界遺産の構成資産になっている。

 最初に訪れたのは、崎津教会。海辺の家並みから尖塔(せんとう)が突き出した集落のシンボルだ。もとは禁教令が解かれた後の1880年、金比羅山中腹にある崎津諏訪神社の近くに建てられた小さな教会だったが、1934年ごろ現在地に。フランス人のハルブ神父が、建立を指揮した。ゴシック様式だが内部は畳敷きで、はるのちゃんも物珍しげ。

 案内役の天草宝島観光協会の職員から「ここはキリシタンを取り調べた庄屋宅跡で、祭壇はかつて絵踏みが行われた場所」と説明を受けると、椅子から下りて手を合わせた。祭壇を見詰めた後、深々と頭を下げたはるのちゃん。

 「ほんと、ありがたかね。世界中に有名になったもんね。幸せですよね、天草は。皆さんのおかげ。こりゃ、拝みます」

 崎津諏訪神社まで上ると、漁村の家々、崎津教会の尖塔や白い十字架などが見える。集落内には潜伏キリシタンの指導者屋敷跡や崎津資料館などもある。

 さて、ここまで来たからにはと、実際に潜伏キリシタンの文化を今も継承している天草唯一のお宅を訪ね、隣接する今富集落へ。潜伏キリシタンの末裔(まつえい)、川嶋富登喜(ふとき)さん(89)が迎えてくれ、独特の正月飾りの習慣を教えてくれた。

 臼をひっくり返し、空洞になった部分に煮しめなど神様へのお供えを隠す。臼の上には2本のきねを斜めに交差させて置き、十字架に見立てるという。

 地元のキリシタン研究家、浜崎献作さん(74)によると、斜めに交差するエックス字形は十二使徒に由来する「聖アンデレ十字」といわれるもの。「ここにしか残っていない貴重な習慣」という。

 また川嶋家の墓碑の台座には「干十字」が刻まれていたが、その上に地蔵を載せて隠していたそうだ。信仰を守り続けた先祖の話を聞き、はるのちゃんは「ほんと、すごいばい。こりゃよかもんば見学させてもろた」と感心しきりだった。

 はるのちゃんの崎津集落リポートは、ネット放送局「天草テレビ」のサイトで公開中。

   ◇   ◇

「なんぼでも食べられる」 崎津名物「杉ようかん」

 崎津でお土産といえば、名物「杉ようかん」=写真。1790(寛政2)年、崎津に漂着した琉球使節が伝えたとされ、杉の葉っぱを載せた長四角の餅のような菓子。もち米の皮の中にこしあんが入っている。

 崎津教会から歩いてすぐの人気店「南風屋(はいや)」を訪ねると、店長の宰川マキエさん(76)が「餅は丸い形。四角だからようかんと呼んだのではないかと思う」と話してくれた。杉の葉は昔、容器の代わりにようかんを覆った名残。乾燥防止にもなったそうだ。

 試食したはるのちゃんは「ば~、うまか。なんぼでも食べられる」と舌鼓を打った。

 杉ようかん1パック(2個入り)180円。南風屋=0969(79)0858。

=2018/08/20付 西日本新聞夕刊=

PR

PR

注目のテーマ