地方創生 漫然と続けてもいいのか

西日本新聞

 政府が地方活性化のために掲げた政策「地方創生」は4年目も半ばに入った。本年度までに計7200億円もの交付金が地方自治体に配分されるが、成果は見えない。最近は地方でも話題に上ることは少なくなった。

 それでも政府は、2020年度から次期5カ年計画に入る予定である。漫然と続けるだけでは意味はない。成果が出ないのはなぜか、政策の方向は間違っていないか、国の考えを地方に押しつけていないか-そうしたことの十分な検証が必要だ。

 地方創生を打ち出した安倍晋三首相が担当相を置いたのは14年9月で、15年度から5カ年計画に着手した。初代担当相は石破茂元幹事長である。

 両氏は来月の自民党総裁選で対決する。石破氏は地方創生を争点の一つに掲げた。格好の舞台だ。地方に活力を生む具体策を徹底的に議論してほしい。

 地方の活性化は待ったなしである。しかし安倍政権が地方創生に取り組み始めた後も、九州をはじめ地方の疲弊は厳しさを増している。「アベノミクス」の効果は地方に及んでいない。

 総務省による今年1月1日現在の人口動態調査でも、東京一極集中が加速する一方、九州7県を含む41道府県で前年より人口が減った。高齢化と人口減少、商店街のシャッター通り化、雑草伸び放題の耕作放棄地…。地方の課題は難問ばかりだ。

 政府にせかされた自治体は、地方創生のための地方版総合戦略や地域再生計画をまとめたが、コンサルタント頼みや横にらみで慌ててまとめたような内容では太刀打ちできまい。

 交付金にしても、地域事情に疎い国のお眼鏡にかなった戦略や計画ばかりが手厚い配分を受けるようでは、成果が上がらないのも当然だ。

 政策の失速は交付金に限らない。政府機関や民間の本社機能を地方に移転する試みも実りは少ない。東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)と地方の人口転入・転出を20年に均衡させる目標は、17年の転入超過が12万人とあって、達成は絶望的だ。

 焦った政府は若者の東京流入に歯止めをかけようと23区内の大学定員抑制を決めたが、どこで学ぶかは学生側の自由だ。知恵や工夫に欠け、空回りしているのが地方創生の現状である。

 取り組みを続けるなら、地方の自由度が低い交付金の仕組みを含め抜本的な見直しが不可欠だ。政府が次の総合戦略を策定するのに合わせて新たな地方版総合戦略を練る自治体も、総花的な計画から卒業し、地域の歴史や特色を生かす政策づくりに向かうべきだ。そうしたことを議論してこそ、自民党総裁選は国民にとって意味を持つ。

=2018/08/23付 西日本新聞朝刊=

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