息子がギャンブル依存症に…「家族の会」の支部設立した女性 活動にかける思い

 競馬など公営ギャンブルやパチンコなどにのめり込むギャンブル依存症。賭け金を借金で賄い、賭け事が生活の中心に-。そんな依存症患者を抱える家族が集うNPO法人「全国ギャンブル依存症家族の会」(東京)の福岡支部が久留米市に設立された。患者は全国で推計320万人ともいわれる。家族がどう向き合い、会は家族をどう支えていくのか。福岡支部代表世話人の村田麿美(まろみ)さん(53)=同市東和町=に聞いた。

 -次男(23)が依存症と診断されたそうですね。

 「学生のころ、私の通帳から勝手に現金を引き出したので問い詰めると『パチスロに使った』と打ち明けました。『二度としない』との言葉を信じていたのですが『教科書代が必要』『定期券を買う』とか言ってお金を求めてきます。やがて、机の上に景品のお菓子がたまっているのに気付きました。再び問い詰めると『やめられなかった』。ショックでした」

 「以来、私も異常な行動を取るようになりました。次男の財布の中身をチェックしたり、居場所が気になって電話をかけ続けたり、外出に付いていったり…。私の管理に耐えられなくなったのか、次男は“失踪”しましたが、探し回った末に見つけたのはパチンコ店。強引に連れて帰り、ネットのギャンブル依存症サイトを一緒に見て、症状を一つ一つ確認しました。次男もやっと分かったようです。なぜか安心した表情を見せました。その後、精神科を受診し、山梨県にあるギャンブル依存症専門の回復施設に入所。もう1年になります」

 -支部設立のきっかけは。

 「最初のころは市内の自助グループに参加していました。悩みを打ち明けることで心の平穏は取り戻せるのですが、参加者の悩みを共有するだけにとどまっていました。家族へのサポートの必要性を強く感じ『家族の会』に入りました。会では医療機関や行政と連携し、患者の社会復帰支援にも取り組んでいます。同じような境遇の家族と手を携え、支部設立の準備を進めてきました。長崎、佐賀各県に次ぎ3支部目となります」

 -活動にかける思いは。

 「家族は『育て方が悪かった』『私にしか面倒を見切れない』と追い詰めるばかりで、心が病んでいくことにも気付きません。患者は『ブレーキが壊れた車に乗っている』と例えられます。借金の肩代わりなど家族の尻ぬぐいは、その車にガソリンを入れて走らせるようなものです。家族は患者から離れる勇気を持つことも必要です。そして、会がそんな家族に必要な支援につなげる窓口になりたいんです」

 「私は『家族の代弁者』のつもりです。家族や当事者にしか分からない、語れない悲惨な状況があります。まだまだギャンブル依存症への偏見も強いし、理解も浅い。でも、誰もが依存症になる危険性はあるんです。依存症という病気を周りが理解し、支える社会の実現を目指して生の声を伝え続けます」

    ◇      ◇

■初会合で胸の内明かす

 久留米シティプラザ(久留米市六ツ門町)で8月22日に開催された福岡支部の初会合には家族や支援者など26人が参加し、胸の内を明かした。

 「もしかしてとは思っていたけど病院にも行ってくれないし、どうすればいいか分からない」。春日市の女性(56)は語り始めた途端、涙があふれた。20代前半の息子と2人暮らし。パチンコ店に通い詰める息子に受診を促しても「病気じゃない」と認めない。30万円の借金を肩代わりしたこともあったが、息子が変わることはなかった。「誰にも相談することができず、一人で抱え込んでしまった。仕事も手に付かなかった」と言葉を続けた。

 依存症の男性(36)は妻(27)と参加した。パチスロで借金がかさみ、盗みに手を染めようと考えるほど追い詰められた。妻に借金を明かしたことをきっかけに目が覚めたという。「やめたいのにやめられないと、自分を責める。家族にも迷惑を掛けるため、パチンコ店が居場所だった」と打ち明けた。

=2018/09/01付 西日本新聞朝刊=

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