豪雨犠牲者へ響け讃歌の声 朝倉の合唱団23日公演 団員の熊谷さんを追悼

西日本新聞

 福岡県朝倉市郡の中高年者を中心につくる「あさくら讃歌(さんか)合唱団」と、宮城・長野両県の太鼓などのグループによる合同公演が23日、朝倉市で開かれる。合唱団員だった福岡県東峰村の熊谷みな子さん=当時(66)=は出演を楽しみにしていたが、昨年7月の九州豪雨で尊い命を落とした。熱心に練習を重ねていたみな子さん。仲間の団員たちはみな子さんや豪雨の犠牲者を慰霊し、復旧・復興を祈るコンサートにしようと、本番を前に誓っている。

 あさくら讃歌は朝倉市郡の歴史、文化、自然、人を歌い上げる8編、約30分の組曲として1991年に誕生。同合唱団は99年、同讃歌に取り組むことを目的に発足した。

 作曲を担当した文化功労者の故三善晃さんが、宮城県加美町と長野県松本市でもそれぞれ地元をテーマにした楽曲を手掛けた縁で、合同公演が2001年スタート。みな子さんはその頃、合唱団に加わり、両県に出掛け歌ってきた。

 合唱団の坂田啓明代表(72)によると、朝倉市で初となる合同公演の計画は数年前に浮上。みな子さんを含め団員たちは心待ちにしていたという。

 みな子さんの悲劇は突然起きた。豪雨の日、自宅ごと流される直前、仕事で別の場所にいた夫の武夫さん(73)に、「帰ってこん方がいいよ」と電話で話し、これが夫婦の最後の会話になった。今は東峰村の仮設住宅で暮らす武夫さんは朝倉公演の招待を合唱団から受け、「言いようがないぐらい、ありがたい」と感謝する。

 みな子さんとともに東峰村から合唱団に参加し、あさくら讃歌を歌ってきた梶原孝子さん(62)は「みなちゃんは本当に歌が好きだった。一緒に朝倉で歌いたかった」。坂田代表も「欠かさず練習に来ていたから、いないと寂しい。みな子さんに歌声が届くといい」としんみり語る。

 朝倉公演「大地の鼓響(こきょう)」は23日午後2時から、ピーポート甘木(朝倉市)で。出演は同合唱団のほか、「中新田(なかにいだ)縄文太鼓」(加美町)、「国宝松本城古城太鼓」(松本市)。豪雨の被災者約300人を招待している。前売りは一般1500円、高校生以下千円。幼児は無料。ピーポート=0946(22)0001。

=2018/09/05付 西日本新聞朝刊=

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