高大接続改革(1)何が変わる? 今後求められる学力

西日本新聞

高校と大学つなぐ教育改革

 2020年度、日本の教育は大きな転換期を迎える。小学5、6年で英語が教科化、大学入試センター試験は大学入学共通テストに変わる。小学校から大学まで戦後初の一体改革。中でも注目されるのが、大学入試を含めて高校教育と大学教育の在り方を見直す「高大接続改革」だ。何がどう変わるのか。改革の背景と現状、課題をまとめた。

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 Q 高大接続改革とは?

 A 高校教育、大学教育、それをつなぐ大学入試を一体的に変えていこうという動きです。グローバル化や人工知能(AI)の技術革新など、社会は急速に変化しています。従来型の暗記重視の教育とは違い、新たな価値を創造する能力を育もうという考えが出発点にあります。文部科学省は、時代に対応するため「学力の3要素」((1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力(3)主体性を持ってさまざまな人と協働して学ぶ態度)が重要としています。教育現場では特に大学入試改革が注目されています。

 Q 入試はどう変わる?

 A これまでのセンター試験が2019年度で廃止され、20年度から大学入学共通テストが導入されます。例えば国語と数学で記述式の問題が増えます。選択肢の中から正答を選ぶマークシート式だけでなく、自分の考えをまとめて論述する力が求められます。大学入試センターは、11月に全国で10万人規模の試行調査を実施して、最終的な内容を決める予定です。

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 Q 英語も大きく変わるそうだが。

 A グローバル化を意識して、英語は「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能が重視されています。センター試験でもリスニングを06年から導入するなど改善が重ねられてきましたが、共通テストでは4技能をバランス良く評価することを目指しています。ただ、約50万人の受験者を同時に評価するのは難しい。英検やTOEICなど大学入試センターが認める民間検定試験を活用する方針で、センターを通して各大学に民間試験の成績が提供される仕組みが検討されています。

 Q 民間試験は有料で、家庭や地域の事情によっては受験機会に差が出そうだが。

 A 現役生の場合、高校3年時に受けた民間試験の成績を使うのが原則ですが、経済事情や地域事情を考慮して、例外的に2年時の試験結果も受験に使えるようにすることなどが検討されています。とはいえ、そもそも民間試験と学習指導要領との整合性に対する疑問の声は根強くあります。

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 Q 教育現場には戸惑いもあるようだ。

 A 共通1次試験からセンター試験になって以来の大改革。円滑に移行するため、文科省や大学入試センターには、早急に内容を詰めて公表し浸透を図ることが求められます。もちろん入試だけではなく、知識と考える力をバランス良く育むための教育課程の見直しも進められています。高校では基礎学力定着と指導改善を目的にした「高校生のための学びの基礎診断」も、19年度から導入されます。

 Q 大学はどう変わっていくのか。

 A 高校教育と入学試験の変化に対応して、各大学の教育理念に合った入学者を受け入れる仕組み作りや、体系的で組織的な教育過程の編成、卒業までに学生が身に付ける能力の明確化が求められています。主体的に考える力を備えた人材を育てる出口になるので、質の向上が不可欠となります。 (森井徹)

学びの形大きく転換 次期学習指導要領

 小学校から高校まで、全てに導入される「アクティブ・ラーニング」(主体的・対話的で深い学び)は教員の教え込みではなく、児童生徒同士の学び合い、教え合いを授業で増やそうとする試み。「何を学ぶか」より、「何ができるようになるか」「どのように学ぶか」に力点を置いている。

 小学校ではグローバル化に対応し現在、5、6年生で学んでいる外国語活動(英語の聞く、話す)を3、4年生から学習するようになり、英語教育の早期化が進む。5、6年生の英語授業は「読む、書く」も加わり、正式教科となる。情報通信技術(ICT)時代に対応した人材育成に向け、新たにプログラミング教育も導入される。

 高校は27科目が新設・改定される。特に地理歴史・公民分野は大きく変わる。新たな必修科目「公共」は、18歳選挙権の導入で重要となる高校での主権者教育を中心的に担う。社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、生き抜く力や地域の課題解決を主体的に担うことができる力を身に付けるため、討論や模擬選挙、模擬裁判なども取り入れて学習するとしている。インターネット上に氾濫する情報の価値を正確に読み取り活用するメディア・リテラシーの育成も役割だ。

 国際協力や防災を扱う「地理総合」とともに日本と世界の近現代を学ぶ「歴史総合」が新設され、必修科目になる。世界史は必修でなくなる。

 一方、「日本史探究」「地理探究」「理数探究」など新科目に目立つ「探究」は、高大接続議論の中で示された、課題を探究する能力を育むことを明確化するというのが文部科学省の考えだ。今後、児童生徒が新たな学びに向かう中で、指導する教師力も問われることになる。

=2018/09/09付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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