サイバー捜査官、育成に力 担当外を“修業”も 九州各県警、相次ぎ強化策

西日本新聞

 育て! サイバー捜査官-。九州の各県警が、インターネットやスマートフォンの普及で増加、巧妙化するサイバー犯罪に精通した捜査官の育成に力を入れている。福岡県警は3月からサイバー犯罪対策課で、他部署の捜査員が半年間“修業”する研修をスタート。九州大やIT企業で最先端の技術も学ぶ。研修中の捜査が摘発につながったケースもあり、捜査力の底上げに期待がかかる。

 「覚醒剤の売買に関するメールが保存された端末を捜して」。今夏、福岡県内某所。ネットを使った覚醒剤密売事件の家宅捜索現場で研修があった。元システムエンジニアで同課の幾野裕美警部補が研修生に指示を飛ばした。

 県警によるサイバー犯罪の昨年の摘発数は403件(前年比54件増)。同課は3月、他部署の3人を半年間受け入れ、サイバー犯罪捜査のノウハウを伝授する「教養・研修係」を新設した。

 研修は4段階。まず座学でネットやパソコンの基礎知識を学ぶ。次に家宅捜索に同行したり、ハードディスクやスマートフォンの記録を復元・解析したりする。仕上げに捜査活動に加わり、研修成果を生かす。

 九州大やNTTドコモ、QTnetの協力も得て、最新のサイバーセキュリティー技術の講義も受ける。

 1期生の子ども・女性安全対策課の永田輝巡査部長ら3人は、ネットの掲示板に覚醒剤売買情報を書き込んだ売人らを覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕する手柄を挙げた。8月、晴れて「サイバー捜査官」に任命され、研修を卒業した。

 「サイバーへの苦手意識がなくなった」と語る永田巡査部長。子ども・女性安全対策課で捜査するメールを使ったストーカー事件などで「学んだことを生かして積極的に取り締まりたい」と意欲を燃やす。

 サイバー犯罪対策課は今月、2期生を受け入れた。将来的にはサイバー犯罪とは縁遠かった交通部などでも捜査官を育てる意向だ。

 九州の他の県警もサイバー捜査の担い手育成を進める。宮崎県警は4月から同様の研修制度を始め、専門部署が他部署の捜査員1人を1年間受け入れている。熊本県警は2016年度から刑事部の若手を対象に研修を開く。大分県警は17年度から「サイバー学校」と題して年6回の講習を行っている。

 福岡県警サイバー犯罪対策課の鶴一彦課長は言う。「匿名性が高いネット空間では悪質な犯罪が多い。各部署でもサイバー捜査の中核を担う人材を育て、しっかりと目を光らせる」

=2018/09/18付 西日本新聞朝刊=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ