被災地に行けなくてもボランティアになれる 北九州いのちの電話 熊本地震などで応援

西日本新聞 北九州版

 悩みを話したい人に24時間365日応じる社会福祉法人「北九州いのちの電話」=093(671)4343=は、東日本大震災や熊本地震で被災した各県のいのちの電話(相談センター)の応援を行ってきた。被災地のセンターの応援には、現地の状況をしっかり学ぶ必要があり、余裕のある相談員の確保が必要だが、近年はピーク時の6割にまで減少した。北九州いのちの電話の川尻正之事務局長(74)は「被災地に行けない人でもボランティアになれる」と、相談員への応募を呼び掛けている。

 各センターは災害で対応が困難になった場合、応援し合うことにしており、2011年の東日本大震災では、東北4県専用ダイヤルを設けて全国50センター(当時)がローテーションで2年半対応した。

 川尻事務局長は、津波で自宅を失ったという宮城県の女性の電話を受けた。女性は津波に流されている途中、奇跡的に漁船に救助され、夫も出稼ぎ中で不在だったため無事だった。女性は「家族を失った地元の皆からは、あなたは幸せと言われる。自分もつらいのに誰にも話せない」と涙声で話していたが、電話を切る頃には女性は落ち着いていた。災害時の電話相談の必要性や、やりがいを実感したという。

 16年4月の熊本地震では「熊本いのちの電話」の相談員が被災するなどして業務を一時休止。態勢が比較的整っている北九州など九州の4センターが、電話を転送して相談を受けた。

 同年7月からは熊本地震フリーダイヤルを設けて名古屋や沖縄など12センターで対応した。今年4月までの約1年10カ月で北九州の受信件数は858件と、熊本の707件よりも多く最多だった。川尻事務局長は「北九州は歴史があるセンターで相談員の使命感も強い」と胸を張る。

 ただ、災害の電話を受けるのは簡単ではない。深刻な相談内容が多い上、支援制度を知ることも必要だ。熊本地震では、熊本まで研修に行ったり、支援制度をまとめた冊子を読み込んだりして相談に対応した。

 普段の電話応対に追われ、応援まで手が回らないセンターも少なくない中、北九州のセンターは24時間態勢を維持してきた。それでも相談員数は17年で約150人と、ピーク時の約250人(01年)から約4割減った。

 全国49センターのうち、24時間態勢を整えているのは22だが、多くのセンターが相談員の確保に苦労しているのが現状だ。いのちの電話には、重い障害があるなど、いろいろな事情を抱えた相談員もおり、川尻事務局長は「心のボランティアとして北九州から被災者に寄り添うこともできる」と話している。

 北九州いのちの電話は来年1月と2月の両11日に、原発避難者向けの「ふくしま寄り添いフリーダイヤル」への参加を予定している。

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■相談員を募集

 事務局は、第45期のボランティア電話相談員を9月30日まで募集している。10月6日から来年3月末まで養成講座がある(テキスト代など3万円が必要)。応募、問い合わせは事務局=093(652)6628。

=2018/09/20付 西日本新聞朝刊=

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