羽ばたこう大空へ 難病の子どもたちを熱気球に 日本筋ジス協福岡県支部 30日に体験フライト

西日本新聞

 徐々に筋肉が衰え、体の自由が奪われる難病の筋ジストロフィー。患者の多くは車椅子で暮らし、昨日できたことが今日、できなくなることも。何事も諦めがちで、家族も含めて外出の機会も減るという。日ごろ体験できない、生きがいを感じられる場を患者に提供できないか-。一般社団法人・日本筋ジストロフィー協会福岡県支部が、こうした子どもたちを熱気球に乗せるイベントを企画した。

 九州を中心にボランティアで体験フライトを続ける佐賀市の熱気球クラブ「ビーバー・バルーンクラブ」と共栄火災海上保険(本社・東京)が協力。インターネットのクラウドファンディングでも資金を募り、実現にこぎ着けた。30日に福岡市南区の市立若久特別支援学校で開催。自身も難病を患う同支部長の溝口伸之さん(44)は「車椅子でも大空を飛べる。諦めなければ夢はかなうことを、多くの難病患者に伝えられれば」と思いを語る。

 同協会は1964年に設立、全国の都道府県に支部がある福祉団体。溝口さんは脊髄性筋萎縮症を患い、幼少期から車椅子生活を送る。現在は重い障害者向けの居宅介護会社を経営。同支部長としても患者や家族同士の交流行事を開いている。「病気が進行してなかなか外に出られず、こうした集まりはありがたい」との患者側の声に応え、「どうせなら日常では体験できないことを」と発案した。

 晩秋の「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」で知られる佐賀市は熱気球が盛ん。同クラブと共栄火災は、体の不自由な人にも大空を駆ける感動を味わってもらおうと1992年に体験フライトを始めた。共栄火災が熱気球「まもるくん号」と運営費を提供、クラブのメンバーが実際に現地で係留フライトを行うかたちで、これまで400カ所以上の施設を訪問した実績がある。同支部からの依頼に応じた。運営費の一部を補うため、同支部がクラウドファンディングで約50万円を集めた。

 当日は校庭で、熱気球を20~30メートルの高さで係留し、同支部会員の患者10人、家族15人、近くの福祉施設の障害児30人らが体験する予定。

 「重い障害があると、その不自由さから我慢することを覚えてしまう。ただ最近は福祉施策も改善され地域の人たちの理解も進み、夢や自己実現を目指す患者も増えている」と溝口さん。「今後も生きがいを実感できるような試みを考えていきたい」と話す。

=2018/09/25付 西日本新聞朝刊=

PR

くらし アクセスランキング

PR

注目のテーマ