おとといは数学者カルダーノの誕生日だった…

西日本新聞

 おとといは数学者カルダーノの誕生日だった。1501年、イタリア生まれ。3次方程式の解の公式で知られる。医師としては腸チフスやアレルギー症を発見、科学者としても磁気現象と電気現象の区別を確立した

▼数々の分野に業績を残し、ダビンチにも匹敵するルネサンス期の天才には、もう一つ意外な顔が。賭博師である。さいころ遊びに熱中して財産を失ったというから、今でいうギャンブル依存症か

▼ただ、そこは凡人と違うところ。賭博で勝って借金を返そうと、さいころの目の出方を数学的に研究し、確率論にまで発展させた。いかさまのための手引書も書いた

▼さて、その努力の成果は。カルダーノは、ほとんどの賭け事は最終的にはギャンブラーが破産する仕組みになっている、との結論に達し、こんな言葉を残した。「ギャンブラーにとっては、まったくギャンブルをしないことが最大の利益となる」

▼カジノを解禁するIR法が7月に成立し、2020年代に国内初の合法カジノが開業する見通しという。ギャンブル依存症の増加や治安悪化などへの懸念は根強い。共同通信社が行った世論調査でも、カジノ「反対」は65%を占めた

▼2乗しても負の数になる「虚数」の概念を初めて導入したのもカルダーノだ。カジノは地域経済にプラスになる、と政府は言うが、本当にそうか。賭けても賭けてもマイナスになる遊びは「虚業」に思える。

=2018/09/26付 西日本新聞朝刊=

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