週替わり作品展、休まず四半世紀 経験ゼロからスタートした画廊

 佐賀市本庄町の貸し画廊「高伝寺前村岡屋ギャラリー」が今年で25周年を迎えた。開設時から四半世紀もの間、週替わりの作品展を一度も途切れさせずに続けている。画廊を運営する井手和子さん(71)は「作家や来場者との出会いはいろんなことを学ばせてくれる。画廊は私の人生そのもの」と話している。

 画廊は広さ60平方メートルで、和洋菓子の製造販売で知られる「村岡屋」高伝寺前店の中にある。隣には喫茶店もあり、来客はお菓子を買うだけでなく、その場でお茶とともに味わい、芸術作品も鑑賞できる。「三位一体の場所」として村岡屋が1993年1月にオープンした。

 油彩、水彩画、陶芸、建築、染色、古布で作った人形展…。今でこそ多彩な作品展が週ごとに開かれるが、もともと芸術には縁遠かった井手さん。結婚して子育ても落ち着いた45歳のころ、親戚の前社長に請われて運営を始めたが、知識や経験がなくて戸惑った。

 作品を展示してくれる作家のつてもなく、美術館に「飛び込み」をして作品展を開催中の作家に声を掛けたことも。営業活動も唯一運転できる自転車で回り、人脈を広めた。「誰も教えてくれず、自分の失敗からやり方を学んだ。無我夢中の25年間だった」

 画廊は、作品を入れ替える月曜日を除き、火曜から日曜日まで営業が続く。作家が急にキャンセルしたときも、別の作家に頼み込んで作品を用意してもらった。年末年始の休日は元日のみで「こんな画廊はほかにはない」と美術関係者から驚かれる。ある新聞記者からは「いつも作品展があるので取材ネタに困らない」と感謝された。

 1週間ずつ入れ替わる作家たちもさまざまだ。名が知れたプロや「村岡屋で展示会を開くのが夢」という地元作家の作品も並ぶ。5月には佐賀出身の女性の遺作を「里帰り」させ、念願だった個展を開いた。井手さんは「週ごとにいつも作家と一心同体になる。それぞれの人生ドラマを身近に知ると、熱い思いになる」という。

 仕事以外の時間にも、普段から画廊の予定表が書かれたチラシをハンドバッグに持ち歩き、魚屋やクリーニング店など買い物先や出会った知人に配って来場を呼び掛ける。「画廊を通じて達成感が得られる。自分の価値観も変わり続け、楽しくて仕方がない。もうしばらく頑張りたい」

 開館時間は午前10時~午後6時。入場無料で、作家の作品を購入できる。高伝寺前村岡屋ギャラリー=0952(24)5556。

=2018/09/27付 西日本新聞朝刊=

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