団塊の世代への応援歌 堀内孝雄が新曲「みんな少年だった」

西日本新聞

 堀内孝雄が1年7カ月ぶりとなるシングル「みんな少年だった」を8月にリリースした。前作の「空蝉(うつせみ)の家」と同じチーム(作詞田久保真見、作曲堀内孝雄、編曲川村栄二)での曲作りだが、社会問題化している空き家をテーマにしっとりとした印象だった前作に比べ、明るい雰囲気の楽曲だ。今年69歳。団塊の世代の堀内は「『おーい、みんな変わりないか』という気持ちで歌っている」と話す。

来年はアリスの活動も

 〈古いアルバムをふと開けば〉と始まる曲は〈あの頃の俺に聞いてみる 俺は変わってしまったか?〉と己の半生を問い掛け、〈置き去りにしたものは何だろう〉と後悔の念をにじませる。少年は大人となり社会の荒波にもまれる。生きていくすべを覚え、純粋さを失っていくように思える。新曲はそんな大人たちが人生を振り返る歌だ。

 だが、堀内は言う。「人間の本来の姿はそんなに変わるものではないし、変わらなくていい。役者になればいいんです」。その言葉に呼応するように2番では〈俺は今も変わらない〉〈信じたものは今もある〉〈想い出よりも今日を生きよう〉と前向きな答えを見つけ出す。アリス時代の歌「BURAI」(1987年)で〈無頼なれ君よ君が君でいる為に〉と訴えた。「みんな少年だった」はこの呼び掛けへの30年の年月を経た返歌のようだ。

 80年代までのアリス時代は青春の傷や痛みを表現した。その後堀内は年末大型時代劇の主題歌、人情刑事ドラマのテーマを歌った。「こんな幅広い歌手はいない」と笑うが、常に視線の先にあったのは自分と同じ世代。「最近は暗いニュースばかり。『多分俺たちが悪いことしたのかな』とみんな思っているんじゃないかな」と言う。新曲はそんな同世代に向けた応援歌だ。

 カップリングはNHK「みんなのうた」にも採用された「旅人のように」(89年)のニューバージョン。これまで作ってきたものの中からお気に入りの曲をカバーする作業を続けており、今回もその一環。旧バージョンよりも深みが増している。これも人生経験を経た重みだろうか。

 来年は、谷村新司、矢沢透とのアリスとしての活動が控えている。「おかげさまで6度目の再活動。前回の2013年ほどのライブをすることはできないと思うけど、自分たちにプレッシャーをかけずに楽しくやれれば」

=2018/10/09付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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