【特派員オンライン】タイ総領事館と「人の縁」

西日本新聞

 タイ政府はなぜ、日本国内で2カ所目となる総領事館を九州の福岡県に開設したのだろうか。福岡側が誘致に熱心で、九州との関係を重視したからか。どちらも正しいが「人の縁」も大きな要因だった気がする。

 政府内で福岡県開設のけん引役になったのはソムキット副首相だった。日本の地域にはそれぞれに特色があり、強みがあることを熟知する知日派だ。誘致を進めていた福岡県にとって、ソムキット氏が軍事政権の要職にいたことは幸運だった。「九州通」でもあるからだ。

 タクシン政権でも閣僚として経済政策を主導したソムキット氏は2001年、農村振興のために「一村一品運動」をタイに導入した。発祥の地である大分県で運動のノウハウを学ぶため、タイ国内の知事75人を連れ訪日したこともある。誘致の経緯に詳しい関係者は「ソムキット氏には九州に勉強させてもらった、との思いがあった」と言う。

 タイ総領事館の開設では、投資や貿易での結び付き強化といった合理的な理由のほかに、キーマンの思い入れが大きな役割を果たしたのは間違いない。九州とタイに「新たな縁」をもたらす出発点になってほしい。 (バンコク・浜田耕治)

=2018/10/14付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ