朝倉の被災農家、再起の農地 三セクの借地で栽培・出荷 売り上げの4割が収入に

西日本新聞

トラックで運ばれてきた苗の植え付け作業を始める被災農家の女性たち=9月、福岡県朝倉市のバサロ前の畑 拡大

トラックで運ばれてきた苗の植え付け作業を始める被災農家の女性たち=9月、福岡県朝倉市のバサロ前の畑

 昨年7月の九州豪雨で農地や農機具を失った農家の支援に、福岡県朝倉市の第三セクター、ガマダス(社長・林裕二市長)が乗り出した。被災していない農地を同社が借り、そこでの作物栽培から出荷までの作業を被災農家に委託。農家は同社運営の「道の駅原鶴・ファームステーションバサロ」に収穫物を出荷し、売上金の4割を得る仕組み。既に農家3人が9月中旬から栽培を始め、「念願の農業ができて、収入も得られる」と喜んでいる。

 朝倉市によると、同市では多くの農家が土砂の堆積などで農地が耕せなくなり、農機具も失った。ガマダス社の河津純治担当課長(54)は「働きたくても働けず収入が減っている農家が相当いる」と話す。

 このため同社は市や地元JAなどと協議。また貸しを禁じる法に触れないよう、借りた農地の耕作、苗や肥料の提供などは同社が行い、被災農家には栽培と出荷の作業を委託する。バサロに出荷してきた組合員(約600人)に募ったところ、朝倉市杷木地域の農家の女性3人が応じた。

 9月中旬、3人はバサロ前にある畑約20アールにブロッコリーなどの苗を植えた。今後も月に数回作業する。柿園が土砂に埋まった田篭明美さん(65)は「野菜作りに取り組むきっかけにしたくて希望した」という。家や農地を濁流で失った井手五月さん(74)も「ずっと農家だったから野菜を作らないと心や体が参ってしまう。こうした支援は、元気がもらえてありがたい」と語る。

 朝倉市農業振興課によると、農作業委託による支援は市内で初めての試みで、「成功例の一つになってほしい」と期待する。柿園が被災した足立久美子さん(72)は、世話になるバサロの役に立とうと引き受けたといい、「生活の助けになるよう、一人でも多く参加する人が増えたらいい」と願っている。

=2018/10/17付 西日本新聞朝刊=