【診る11・18福岡市長選】(1)天神ビッグバン加速 一時移転先確保がカギ

西日本新聞

 今月上旬、福岡市が最重点政策に掲げる再開発事業「天神ビッグバン」で、二つの新たなニュースが発信された。

 一つは、天神北部の商業施設「イオンショッパーズ福岡店」の上層階が、ビル建て替えの間、既存テナントが一時移転できる「受け皿」のオフィスフロアになること。もう一つは、明治通りに面した天神2丁目南ブロックの具体的な街づくり計画が動きだすという速報。「テナントの『入』と『出』で対をなす街づくりの動き」(関係者)はビッグバンの加速を印象付けた。

 「天神ビッグバンの大きな後押しデス!」。高島宗一郎市長はブログで事業の進展を喜んだ。一方で、事業を巡っては、市議会の共産党、緑とネットが「大企業だけをもうけさせる開発優先行政」と主張し、反対している。

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 国家戦略特区による高さ上限緩和と市独自の容積率緩和を組み合わせ、民間のビル建て替えを後押しし、街の魅力と、耐震性をはじめとした都心の防災力を高めていく天神ビッグバン。2024年末までに30棟の更新を目指す。

 昨年、天神ビジネスセンターの着工を皮切りに、今年に入り、大名小跡に高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」を核とした高層複合ビル▽福岡ビル、天神コアなどを一体的に建て替える計画-の公表が続いた。

 日本不動産研究所九州支社の山崎健二支社長(56)は「特に高さ上限緩和が追い風のインパクトになった。(30棟更新の目標についても)オフィス市況の需給バランスを急変させないような、適切なペースで順調に進んでいる」と評価する。

 ただ、市によると、2年前に3・0%だったオフィス空室率は今年6月時点で1・5%に低下しており、ショッパーズの案件で供給力不足の解消は緒に就いたばかり。「天神の周辺部に、家賃がそれほど高くない既存テナントの一時移転先をさらに増やしていくことが喫緊の課題だ」と山崎氏。

 もう一つ、指摘するのが大規模な再開発を機にした街への新たな価値の付与。福岡市が「アジアの拠点都市」を目指す中で、天神に外国語対応が可能な学校と医療機関を誘致することも提言する。

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 急速に変わりゆく天神。この街に根を張り、伝統と情緒を守り続けてきた店舗やテナントへの配慮も置き去りにはできない。

 「オーナー企業との立ち退き交渉が難航し、どうしたらよいのか困っている」。建て替えが決定したビルの地下で、長年にわたり飲食店2店を経営してきた70代社長は訴える。お年寄りから若者まで老若男女の固定ファンは1日平均400人も来店してくれるが、将来、新ビルに戻ってこられる保証もない。

 社長は、市に対して「新しい街づくりは徹底してやっていいが、一方で天神の古き良きもの、郷愁を『ゾーン』を作って残していくような仕組みも考えてもらいたい。市は屋台の存続にも知恵を絞ったのだから」とメッセージを送った。

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 福岡市長選が11月4日告示、18日投開票で実施される。市政各分野の現状と課題を「診る」。

=2018/10/20付 西日本新聞朝刊=

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